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コラム

シビウ国際演劇祭2012安田雅弘

シビウ国際演劇祭1週間

ルーマニアのシビウ国際演劇祭に来て1週間。
このフェスティバルを訪れるのは5回目。
1日2本から3本芝居を見ている。
今日は珍しく朝から晴れた。
昨日までは、ほんの時折晴れ間がのぞいたと思ったらすぐに曇って雨という天気。
昨晩は雷鳴とどろく豪雨でホテルに戻れないのではないかと心配になったほど。
こんなに雨のシビウは初めてだ。寒いし。
雨が多いと、野外での公演に影響が出る。
機材が使えないし、客足も落ちる。
そして野外の公演は少なくない。
トラムに乗って野外でやる芝居を見ようと準備をしていたら「中止」の連絡。
何でも火を使う芝居とのこと。無理もない。
広場のカフェも、大通りに面したビストロも、開店休業状態。
他人ごとながら経営に響くのではないかと心配してしまう。

まだ4日残っているが、ここまでの成果、というか見て面白かった芝居をいくつか。
フェスティバル初日を飾った、ルーマニアの演出家プルカレーテの「私のあらし」。
それから翌日のやはりプルカレーテ演出の「ガリバー旅行記」。
5月28日、ベルギーのイアン・ロワーズ演出の「鹿の家」。
昨晩見たプルカレーテ監督の映画「パリルーラのどこかで」。
何かプルカレーテの一人勝ちだな。

プルカレーテといえばルーマニアを代表する演出家である。
シビウでは2008年に初演された「ファウスト」が代名詞で、廃工場を会場にし、100人近い俳優を使って、ワルプルギスの夜のシーンを作って、その規模と迫力には圧倒される。
エディンバラ演劇祭にも招待され、シビウ国際演劇祭では毎年上演されている。
この芝居自体が国宝認定され、毎年上演を義務づけられている。
費用は国が出す。素敵な仕組みだ。

(つづく)

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©シビウ国際演劇祭

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©シビウ国際演劇祭

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©シビウ国際演劇祭

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