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コラム

シビウ国際演劇祭2012安田雅弘

カンヌ映画祭

俳優が地元の誇り、ということに関連して大きなできごとがあった。
今年のカンヌ映画祭で、シビウの国立ラドゥ・スタンカ劇場の女優が、女優賞を受賞したのだ。
27日夜、劇場の客席についたところで、後ろに座っていた知り合いが、「ヤスダ、ビッグニュースがある」と話しかけてきた。
「なに」
「クリスティーナ・フルトゥールがカンヌを受賞した」
「えー」
びっくりだ。

邦題はどうなるのかわからないが直訳すると「丘の向こう」とか「丘を越えて」という作品。
これが脚本賞と女優賞を受賞した。
ルーマニアの修道院で実際に起こった事件らしい。
女優賞は主演の2人の女優が受賞しているが、クリスティーナは2年前にラドゥ・スタンカ劇場で《山の手メソッド》のワークショップに参加してくれた役者さんだ。
それ以前2007年にボクが初めてシビウ国際演劇祭に訪れたとき、彼女がニーナを演じた「かもめ」や、主演した「馬鹿と暮らして」を見て、魅力的な女優さんだな、と思っていた。
昨年のワークショップでは出会えず、忙しいのかな、と思っていたら、今回の受賞だ。

テレビのニュースで、流暢な英語でインタビューにこたえる彼女を見て、随分遠くにいるな、という思いと、いやいや思ったより近いのか、という思いが交錯した。
おそらく彼女はシビウに戻ってくるだろう。
今度はシビウだけでなくルーマニアの誇りを体現して。
そしてまたここの舞台に姿を見せるだろう。

(つづく)

©シビウ国際演劇祭

©シビウ国際演劇祭

©シビウ国際演劇祭

©シビウ国際演劇祭

©シビウ国際演劇祭

©シビウ国際演劇祭

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