稽古場日誌

燦燦と淡淡と研修生 名越 未央 2016/02/24

抱腹絶倒へのご招待

研修生稽古を見学した日の出来事。
床にマットを敷き詰め、演出担当の斉木和洋がおもむろに言う。

「じゃ、音楽かけるから、音楽終わるまでひたすらズッコケ続けて」

・・・え?

戸惑う私を置き去りに、流れたのはハードなロックの大音響。そのエネルギーに負けじと、我こそはという研修生3人がマットの上にたち、いきなりドッタバッタと凄まじい音を立てながらズッコケ始めた。
斉木氏の吠え声が響く。

「もっと跳びはねろ!」
「滞空時間3倍にして!」
「休むな!コケた瞬間にたちあがって!」

見ている研修生も調子に乗って叫ぶ。

「長井、もっと空中で体ひねって!」
「志織、地味!!」
「晃平、疲れてんじゃねーぞ!」

・・いったい彼らはなにを目指しているのだろうか? まさか公演でこんなシーンがあるのでもあるまい、こけ方の特訓か? いや、体力作りなのか??
わからん。ぜんぜんわからん。
まったくわけがわからんが、目の前の研修生は真っ赤な顔をして息も絶え絶えに、飛び跳ねては全身を床に強く打ち付ける、という行為を狂ったように繰り返している。
そして気づけば私は、腹を抱えて大爆笑していた。
なるほど、これがまさに観客を巻き込んでの抱腹絶倒というものか!
と、バカ笑いしながら思い当たった。

今年の研修生と斉木氏はきっと、わけがわからない抱腹絶倒の世界へ観客をいざなってくれるに違いない。お互い無傷では済まないかもしれない。
それでもどうか恐れずに、バカ笑いしに、ぶっ倒れに、劇場へお越しください。
心よりお待ちしております。

名越未央

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2015年度研修プログラム修了公演「燦燦と淡淡と」
日程=2016年3月10日(木)〜13日(日)
会場=シアターノルン
詳細はこちらをご覧ください。

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