稽古場日誌

ニュージェネレーション(体験談)研修生 2010/03/31

年間ワークショップ参加者の体験談/村田明香

以前、恩師から「自分は、自分が思う程実力がない事を常に自覚しなさい。それは強みになるから。」と教えられた。
その時は、それを理解していたつもりだったが、今思えば何を理解したつもりになっていたのか自分でも甚だ疑問だ。
なぜなら、ここに来る前の私のモットーは『自分の負けは認めない』事だったから。
言葉にすると立派なこのモットーは、実は翻訳すると『苦手な事には挑戦しない』という事だったりする。
しかし研修生になってからは、やる・やらないの選択の余地なく次々と難題に優しく突き落とされた。
私は盾と思い込んでいたモットーをかなぐり捨てる他なかった。
ルールは手探り、攻略の仕方も合っているかわからない、何とか乗り越えられたとしても、どうしてそうなったのか追求しなければ、次の難題を乗り越えられない。
そうこう考えているうちに、また優しく難題に突き落とされる。
自分の負けを認めざるを得ない場面の連続。
今までの私のやり方からしてそれは苦しい事以外の何でもない事だった。
負けだらけの底辺にいる事に気づいた私が今、確信をもって言える事は、やっと何かから目を覚ます事ができたという事。
恩師の言うように、自分のいる場所を認める事は、何においても強みになると思う。
私はやっとスタートラインを探しだせた。
この一年終えてみて、そんな感触が確かにある。

2009年度研修生 村田 明香

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