稽古場日誌

栗田 直輝 2016/05/02

貪欲と謎の追求へのスタート

こんにちは。
本年度から新たに劇団員となりました、栗田直輝です。

去年の今頃、研修生として山の手事情社に転がり込み、最初のうちは「このまま劇団員になるんだ!」と意気込んでいました。
受け入れてくださった劇団にはもう感謝というか、長年の夢が叶ったというか・・・。
でもまだこれはゴールではなくスタートです。
この劇団で、やりたかったことをどんどんやっていこうと思っています。

学生時代、『道成寺』の稽古場見学をしてから山の手事情社に魅了され、卒業して研修生になりました。
何もかもが自分の観たことのある演劇と全く違っていて「な、なんて面白い事をしてる劇団なんだ・・・!」そう思い、詳しく調べるためにホームページを訪ね、DVDが出ている事を知り、もともとコレクター気質みたいなものもあったのですが、研修生として入るまでの間で過去公演のDVDを片っ端から買い漁っていました。

最初に買ったのは見学した『道成寺』と『タイタス・アンドロニカス』
『道成寺』はバージョンの違うものが2本出てます。
テキスト部分ではない《山の手メソッド》を使った構成要素が少しずつ違ってくるので見比べるためにどっちも買ったのですが、2本買った理由を先輩方に聞かれた時「そんなところまでよく見ているね」と言われた記憶があります。

今までシェイクスピアは堅苦しくてつまらなくて退屈なものだと思っていました。
例えば、恐らく日本で一番有名で分かりやすいであろう『ロミオとジュリエット』を観ても「ふーん、ロミオとジュリエットは敵同士なのに好きになっちゃったんだね、で、駆け落ちするために作戦立てたのにダメだったんだね。で?」
と一歩引いてしまうというか・・・。

でも山の手事情社のシェイクスピア作品はとても分かりやすいんです。
僕は、この劇団は日本で一番シェイクスピア作品を面白く上演出来る劇団だと思っています。
何故こんなに分かりやすく、面白く上演出来るのだろう。
きっと他の劇団なんて目じゃないくらいその作品に向き合い、いろんな方向から深く掘り下げていって、更に《四畳半》という独特な演技スタイルで凝縮させていった結果だと思います。

その創作現場がどんなものなのか考えれば考えるほど、公演を観て考察するほど山の手事情社という沼にハマっていってしまい、また自分の身体でもこんなに面白い芝居を作れるのか試してみたくて、そして「こんなに面白い芝居を作る劇団があるんだぞ!」と1人でも多くの知人に知ってもらいたい。
そう思い、入団を志望しました。

今年からも貪欲に! 欲張りに!
いい意味で山の手事情社の問題児になりたいと思います。

今年度からも、どうぞよろしくお願い致します。

栗田直輝

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