稽古場日誌
「門限ズの夏休み」というタイトルのワークショップは、なかなか説明が難しい企画であります。
門限ズのメンバーでさえ「こんなわけのわからないチラシでよくこんなに人が集まったね。わはは!」とのたもうておりましたので、キテレツなこと極まりないです。
もともと、この門限ズの活動というのは、2009年頃に、作曲家であり演奏家の野村誠氏、振付家でありダンサー遠田誠氏、当時コーディネーターで今では大学で教鞭をとる吉野さつき氏、そして演出も俳優もやっている私倉品淳子で、境界線を越える表現を念頭に始まりました。
イギリス縦断ツアーや、東京、福岡での公演やワークショップを経て、いろんな事情で6年間も活動休止状態だったのですが、吉野氏のご尽力により急遽ワークショップ実施の運びとなりました。
普通、ワーショップってのは、「作曲をやってみましょう!」とか、「演技をやってみよう!」とか、なんらかの導入があるのですが、ここにはそういう概念自体がないようです。生きてるものはみんな自然と演奏したり、歌ったり、踊ったりするもんなのだ。という考え方だから、なんの打ち合わせや指導もなしに、いきなり始まるのです。いきなりみんなでやってみようってことになって、みんな「そういうもんかな?」と思って、次の瞬間には自然にやってるんです。だから、急に、公園で滑り台を叩きながらセッションが始まったり、街の銅像に物語をつけたり、果ては、お寺で般若心経にあわせてセッションするという、「どうやってやるんだ。そりゃ!」という波乱の展開にも、みなさん驚くほど順応して楽しんいらっしゃったようです。
参加者のみなさんがてらいもなく楽しんでいる中、気が付けば、うん十年と俳優をやっている私は、超ドキドキです。ずっとオーディションみたいなもんです。そういえば、イギリスでもそうだったと思い出している私。進歩がないですね。
それでも、遠足の計画をたて、遠足に行くという最終回には、豊橋にあるブラジル村のお店でのインターナショナルなセッションも比較的気楽に参加しちゃったりして、大人になってからの遠足を多いに満喫していました。思えば、大人になってから、やたらと忙しくて、というか忙しくしていないと不安で、「夏休みなんて久しぶりだな~」と。たぶん、参加した方々も同じ思いなのではないでしょうか? 私も含め、ワーカホリックだらけの現代日本人に、門限ズの夏休みは心も身体も解放する休暇の必要性と新しい芸術の可能性を示唆できたのではないでしょうか?
そして、そして! これから、門限ズ本格始動の予感です。春先にはえずこホールの20周年イベントにもからむかも! 乞うご期待!!
倉品淳子