稽古場日誌

外部活動 斉木 和洋 2016/09/15

えずこシアター演劇公演「パンとギターとこけしとわたし」 リポート

今回、演出である倉品をサポートすべく、宮城県にあるえずこシアターへ向かう。
宮城入りしたのが、8月15日の深夜。
翌日は舞台仕込みである。
初日は27日。
その間、セットを仕込んだ状態で劇場で稽古が出来る。
東京では考えられない贅沢さだ。

今回の芝居は90cm×180cmのパネルが舞台上を縦横無尽に駆け巡る。
あたかも、パネルだけが動いているように見せたいのだが、
裏で動かしている人が丸見え。
まあ仕方がない。これは稽古で慣れていくしかない。

しかし・・・。
スタンバイしている袖も丸見え。
「いつもこういう風に使っている」と言われたが、丸見えはまずい。
えずこホールのスタッフに、袖の仕込みの変更をお願いする。
無理を承知でお願いする。
空気を読まずにお願いする。
聞いてくれた。

今回、えずこホールの名郷根さんと遠藤さんには、本当にお世話になった。
東京では考えられないあたたかい対応だ。
「ハンドのワイヤレスを出してくれ」、「ピンのワイヤレスを出してくれ」、「グライコを出してくれ」
と再三再四のリクエストにも、迅速に対応してくれる。
機材リストにあったエレボイのスピーカーも、「ライブでもやるつもりですか?」
と言われながらも出してくれる。
ありがたい。

本番までの約11日間。
馬車馬のように作業をし続ける。
芝居もどんどん変わっていく。
今回、「パンとギターとこけしとわたし」というタイトルのお芝居なのだが、出演者が3チームに分かれて、パン屋さん、こけし職人さんのお宅、大河原高校のギター部へ実際に取材におもむき、インタビューをし、それをもとにつくったシーンを繋ぎ合わせたオムニバスの構成になっている。

オープニングには、パネルが移動し、手品のように、出演者や小道具が現れたり、消えたりするシーンがあるのだが、
「ここにインタビューの音声をいれましょうか?」
と提案すると、倉品は食いつくのが本当にはやい。
夜を徹してインタビューの映像を見直し、翌日の朝には、「ここを使ってね」と指示を受ける。
構成自体は変わらないが、現場で産まれたアイデアをどんどん試していく。
アイデアを拾う速度と捨てる速度が尋常ではない。
流れに身をまかす希有な才能である。

楽日には、ラストの曲も変わってしまった。
中森明菜の「スローモーション」が爆音で流れるなか、カーテンコールがダブルになり、ほんとうにここには、いい劇場があって、いい劇団があって、いいお客様がいるのだとしみじみ思いました。

舞台監督 兼 演出助手 兼 音響 と仕事多すぎ、忙しすぎだったが。
また来たいなあ。

斉木和洋

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