稽古場日誌

ワークショップ外部活動 安部 みはる 2016/10/05

下丸子◇演劇ぷろじぇくと2016 演劇「1day出張ワークショップ」 リポート

9月の土日、安田雅弘が大田区内の様々な施設に出没!
大田区文化振興協会主催、演劇「1day出張ワークショップ」全日程終了しました。

日本にもっと演劇を! まずは大田区が演劇最先端都市になろうじゃないか、と大田区文化振興協会と山の手事情社がタッグを組み、3年かけておこなうプロジェクトがスタートしました。
千里の道も一歩から、ということで、シェイクスピアとか近松門左衛門とか、いきなりそんなこと言われてもわからないけど、少しだけ演劇をやってみたいという方のため、第1弾は1日だけ体験できるというワークショップを開催しました。

わたくし安部と先輩の川村が、ワークショップアシスタントを務めさせていただきました。参加者の皆さんは、演劇初体験の方がたくさんいらっしゃいます。
今回のワークショップで参加者の皆さんに体験していただいたのは 、劇団員である私たちが日常の稽古でやっていることと同じです。
ただし、演劇経験のない方でもできるようにアレンジを加えています。

毎回ワークショップの後半では、皆さんにちょっとした寸劇をやっていただきました。
日常にありそうでなさそうで、やっぱりあるかもしれない、という風景を切り取って演じてみます。
寸劇、と聞いてにわかに参加者に緊張が走ります。
自分に出来るだろうか…

シチュエーションは安田から伝えられます。
その中のひとつはこんなシチュエーションです。
「同性同士での結婚を考えている人が両親に伝える前に、相談しやすい親戚又は兄弟に喫茶店に来てもらって相談する。賛成してもらえると思っていたのに反対される」というもの。
登場人物は4人。同性カップル、親戚(兄弟)、喫茶店の店員です。
このシチュエーションを演じるためにはどんな設定が必要かは出演者に考えてもらいます。人物の歴史を共有するのです。
同性カップルはどう呼びあう?
付き合って何年?
どこで知り合った?
親戚(兄弟)はなぜ反対するの?
店員さんはどうふるまう?
などなど。

1day4

日常生活でやっていることでも、いざ演じてみるとできない事や、わからないことが出てきます。想像で補わなければならないこともあります。
いつも無意識に通り過ぎてしまっていることがたくさんあるんです。
コップの水こぼれてますよ、店員さん怪しい人になってますよ、せっかく頼んだコーヒーを飲んでくださいね、と安田の声が飛びます。
おとなしそうな方が大胆に同性カップルを演じたり、店員さんがたどたどしかったり… 意外な演技に見ている人からも笑いがあふれます。

面白いのは、同じシチュエーションでも演じる方が違うと、まったく違う寸劇が出来上がることです。
私だったらどうやろうか、と思いを巡らせます。
人間をみんな同じに、平均的にしようとする昨今の世の中において、人間は一人ひとり違うんだ、と再確認できるのは非常に感動的です。
これは間違い、これは正解ということはないのです。
それに、演じてみることで少し離れたところから自分を眺めることができ、私こんな事考えてたんだ! と新たな一面を発見することもあります。

ワークショップというのは学びや創造、問題解決やトレーニングの手法で「工房」「作業場」という意味があります。
演劇ワークショップを通して日常生活をもっと豊かなものに出来たら最高です。
それに、今度お芝居を見に行ったとき、今まで見えなかったいろんなことが見えてくるはずです。

11月から始まる、演劇「体験ワークショップ」は全10回+発表会があります。
今度はシチュエーションから参加者の皆さんに作っていただきますよ。
今から楽しみです。現在、参加者募集中です。お待ちしております!

安部みはる

※ 演劇「体験ワークショップ」についてはこちらをご覧ください。(締切:10/20必着)

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