稽古場日誌

劇団員企画 鯉渕 翼 2016/11/17

JOKE TURN-1 「××××」(ヨンカケ) リポート

「何か面白い事をやろう。どうせなら劇団で普段やらないような事を」
そう意気込んで集まった4人組。
劇団山の手事情社に縁もゆかりもあるメンバー、中川佐織、辻川ちかよ、梅津一博、そして私、鯉渕 翼。

「真面目になんて絶対にやらない。いっそ《山の手メソッド》だって使わない。少しでも片鱗が見えたらそのネタは使わない」
と、大胆なことを言いながら、自主企画「××××」(ヨンカケ)はスタートしました。

まずはネタを出しあうところから。漫才だったり、全力で化け物になったり、メンバーが棒切れになってしまった設定で慌てて介抱してみたり…。しかし、いざ自由にやろうとしてもなかなか進みません。
あんな大胆なこと言ったのに。このままではいかん。
台本を使わないと決めた今回の芝居。脈絡の無いネタを何とか繋がるようにしなければなりません。そこで生まれたのが、各々のコンプレックスに響くテキストを読むシーンです。やっと作品のプロトタイプが出来上がりました。なんと本番1か月前の話です。
それからはもうあっという間に過ぎていく時間に静かに焦り続けながら、コンプレックスとは何なのか、ああでもないこうでもないとシーンを増やしたり減らしたり、時に衝突したり、悩みに悩むそんな毎日でした。

そんな冒険心と意地の企画は、監修と音響を引き受けてくれた斉木先輩、スタジオの鏡に絵を描く事を許してくれた江戸間十畳の皆様のおかげで、無事、形にすることができました。ありがとうございました。
そして何よりも観に来てくださった皆様、本当にありがとうございました。

この企画は私にとって初めての自主企画でした。
予算、公演日時、会場、客席数、チラシデザイン、チケット販売など、全て自分たちで決めなければいけません。自由もあるけど、責任もある。劇団公演よりも制作業務に深く関わることができたのも自主企画ならではの貴重な経験でした。

大変なことも多くありましたが、今の自分が得意なものと、まだまだ至らない点がよくわかった時間でした。
この経験を今後の演劇人生に生かします!

鯉渕 翼

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