稽古場日誌

オイディプス@Tokyo 浦 弘毅 2017/01/02

私にとっての神託?

作中「父を殺し、母と交わり子をなす」とオイディプスが授けられる神託は、ただの神話なのだろうか。現代の私たちも実は依然として強固な神託に縛られているのではないか。劇団員が自分にとっての神託を語ります。
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私は生まれてこのかた神のお告げを聞いたことはない。
代々浄土真宗であるが、これといった信仰心もなく、人生の岐路に立ったときはお墓参りに行くことはあるが、そこから何か聞こえるわけでもない。

いま私が生きている中であえて神託というものに置き換えるならば、『男である』ということだろうか?
無理があるように聞こえるかもしれないが、ふと思ったことといえばこのくらいだ。
何か行動するとき、決断しなくてはいけないときは物事を私なりに熟考してはいるものの、結局この『男である』ということに縛られていることがとても多い。
それは決していいことではなく、むしろ苦痛を伴うくらい迷惑といったほうがいいかもしれない。

・男の子だから泣いてはいけない
・男の子はいじめてはいけない
・告白は男からするものだ
・男なんだからけじめをつけろ
・男だろ!(よくわからんが)

自分でも「そんなことねぇーだろ!」って思うものの、この縛りが常に付きまとっている。
正直このなんの意味もない縛りから抜け出したい。
でも抗えば抗うほど、これに縛られ、苦痛を伴い、がんじがらめになっている。

結局こんなことを考えることが無駄なのである。この運命はどうにも覆すことのできない事実なのだから。
ソフォクレス作のオイディプスは何故過去を知ろうとしてしまったのだろうか?

気持ちはとてもわかるのだが『志村うしろ!!』的に面白いのと苛立ちを覚える。

浦 弘毅

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若手公演「オイディプス@Tokyo」
2017年2月23日(木)~26日(日)
すみだパークスタジオ倉
公演情報はこちら

Oedipus@Tokyo

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