稽古場日誌

オイディプス@Tokyo 名越 未央 2017/02/14

ぐったり観劇のすすめ

『オイディプス王』は、山の手事情社で何度も再演しているが、それは私が劇団に入る前のこと。
生で観たこともない。
劇団の研修生となって初めて、DVDでこの作品を観た。
いや、観ようとした、が、寝てしまった…。

よくわからん! 眠い!

これが、山の手版『オイディプス王』と私との出逢いであった。

『オイディプス@Tokyo』は、実に多くの要素を詰め込みまくった作品だ。
物語の軸は、オイディプスが、先王を殺した犯人を求めて破滅していく様を描いている。
山の手版では、物語が進行していく合間に、オイディプスの過去である短いシーンや、《ルパム》(物語のイメージを元に俳優が作ったダンスのようなもの)、さらにまったく飛んで現代の東京で生きる女たちを象徴したシーンなど、いくつもの要素が挿入されてくる。
これにより、「これはいま何のシーン!?」とぽかんとし、わからなくなって思考停止、うとうとしてしまうわけだ。

しかし、この 「 わからない」をすぐさま放棄してしまうのはもったいない! 

目の前で、生身の人間が心身を投げ出して七転八倒していて、それを暗闇で多くの他人とともに目撃している。
その息も詰まるような劇場の感覚の中でこそ、どういうこと? なにこれ?  こーかな? あーかな? そーかな? と脳みそぐちゃぐちゃかき回してみてほしい。 
オイディプス王にまつわる情報が氾濫し、否応なしに大量に流れ込んでくる。
その波にのまれる危険な心地よさを味わってみてほしい。

どうか、脳みそぐちゃぐちゃワキ汗ぐっしょり、ぐったりするほどの劇場体験を、あなたに。

名越未央

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質問@Tokyo 

「オイディプス@Tokyo」に因んで、出演者同士による“東京”に関する質問コーナーです!
髙坂祥平→名越未央への質問です。
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東京でしかできないやりたいことって何? (髙坂) 
外国人御一行とともに、夜中の山の手線一周散歩。(名越)

次回は、名越未央→佐々木啓への質問です。

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