稽古場日誌

オイディプス@Tokyo 研修生 2017/02/17

辛抱と記念日

最近気が付いてしまったことがある。
演劇とは、芸術とは、「辛抱の果てにはみ出てしまった何か」なのではないか、と…

『オイディプス@Tokyo』の稽古場見学では、山の手事情社独自の演技スタイルである《四畳半》をひたすら観察していた。
基本的なルールはあるが、細かく型は決められておらず、感情と意識が動くように身体を動かすので、よくよく見ると個性があって面白い。
そしてセリフを言う時は静止しているのに、何か凄まじい殺気のようなものが出ているように見える。
それにしても、かなり辛抱が必要そうだ。
しかし、だからこその殺気なのだ。だからこそ美しいのだ。

私たち研修生の修了公演『Anniversary』は、記念日の本当の意味を知る8人の物語である。
それ故に私たちは、記念日の本当の意味について考え続け無くてはならない。
それはもうとにかく辛い作業である。
そんな中、今のところたどり着ている結論としては、「考え続けて来たことを解決する唐突なひらめき」や「苦しんだ挙句に訪れた転機」と訳の分からない説が沢山出ていたが、稽古見学を経て、《四畳半》の効果である「辛抱の果てにはみ出た凄まじい殺気のようなもの」も、ある種の記念日ではないか…? という新たな結論が出てしまった。
なんということだ。これは、かなり辛抱強く考える必要がありそうだ。
しかし、本当の記念日の意味を知った時、私達の記念日がまた1つ増えるのだろう。恐らく。

渡辺可奈子

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