稽古場日誌

オイディプス@Tokyo 研修生 2017/02/18

神託と生き方

『オイディプス@Tokyo』稽古見学の前に、演出の安田さんのお話を聞く機会があった。
そこで発せられた言葉が、もやもやと頭に残っている。
「栄養だって神託である」
確かにこの世は神託だらけだが、栄養もそうなのか?
勿論、安田さんは数ある神託の話の中で何気なく出した例だが、大学が栄養系だった私にとっては納得いかない一言であった。
栄養学があるからこそ、健康に生きることができるのではないか。
これは、神託ではなく科学だ、と信じて疑わなかった。
しかし考えてみると、問題は「栄養が神託か否か」ではなく「信じて疑わない」という姿勢なのかもしれない。
その姿勢が神託をつくるのだろうか。

『オイディプス@Tokyo』の挿入シーンは、今に生きる私たちの神託を垣間見ることができる。
「信じて疑わない」毎日は、神託があるから訪れる。
神託の中で生きるか、逃げるのか、立ち向かうか、すべてその人の生き方だろう。
挿入シーンが、「で、あなたはどうするの?」とたずねてきている気もする。

本編と挿入シーン。その間で自分がどう感じるのか。
私も、とても楽しみにしている者の一人だ。

榎本倫子

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