稽古場日誌

研修生研修生(体験談) 松永 明子 2017/03/16

年間ワークショップ参加者の体験談/松永明子

山の手事情社の年間ワークショッププログラムは懐が広い。
自分がどれだけやれるのか、自分がどれだけ変貌できるのか、それを試すために努力する者にはとても優しい。

自分が研修生だった頃のことを思い返すと、特に修了公演間近の時期は、法に触れない限り何をしても良いだろうと思っていた。
気が立っていたのだろう。誰を傷つけても良いと思っていたし、嫌われても良いと思っていた。
そこにオモシロが立ち現れていれば!

散々言われたのは、演技で噛み付いているように見えれば良いのに、シーン中、本気で噛みつくし、稽古で出てくるネタがつまらなければ構うことなくメンバーを罵倒・挑発するし、気に入らなければ研修生担当の劇団員をも批判した。

ともかく怒り続けていた。
こんなものじゃない、わたし達の修了公演は、わたしの仲間は、わたしは、という怒りが自分を支えていたように思う。
付き合わされた人たちにとってはさぞかし災難だったろう。
現に、当時の自分について印象を聞いてみたところ、
「稽古初日にやばい人がいると思った」「あなたが一番怖かった」「爆弾」などなど散々である。

ただ、人が集まれば当然面倒くさいのだ。
あたり差し障りなく振舞ってもどうせ面倒臭いのだから、それならば、正真正銘100%のわたしで向き合おうと決めた。
醜くてもいいから、ともかくありとあらゆる手段を使って、自分のことを伝えようと思った。
そうすれば、きっとそのリアクションによって仲間達のこともより分かるだろう。
その結果としていい創作ができるだろう。
それがわたしにとっての誠実さであり、計算でもあった。そしてこの計算はそれほど外れていなかったように思う。
もちろん運が良かったと言える。山の手事情社と、そこに偶然集まった研修生の仲間達がわたしを受け止めてくれたのだから。
本当に感謝しかない。これからはもう少し、器用に生きたいとは思っている。

こう書くと、もともととても強い人間のように思われるかもしれないけれど、そんなことはない。
実はわたくし、研修生を2年やっていて、これまでに書いた話はすべて2年目の話。
1年目は散々だった。「なにがどうしてこんなに酷いことになったのか」と常に混乱していたし、床を殴りつけて泣いたこともある。
そんな有様だったくせに「本当はわたしこんなんじゃないんだけどな……」とも思っていた。
後悔しても1年目のキミは酷かったのだよ、と今なら当時の自分に言える。
しかし、そんな1年目があったからこそ、2年目は怒りに満ち満ちていたのであった。それでいい。

きっとこの年間ワークショップの門を叩く人たちは「自分を変えたい、変わりたい」と願う人たちでしょう。
どうぞ、変わってください。そのチャンスを幾らでもここでは得ることができます。
少しずつしか進めないかもしれません。でもいいんです。少しずつでも進もうとしているのだから。
やみくもでも不器用でもともかく進もうと手足を動かす人の勝ちです。
そういうことを知っている人たちがたくさんいるのが、山の手事情社です。

健闘を祈る!

2014年度、2015年度研修生
松永明子

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