稽古場日誌

班女 浦 弘毅 2017/06/22

適齢?

三島由紀夫の近代能楽集『班女』
私が初めて読んだのは20歳の時でした。実際に20代前半に『班女』を小規模公演で吉雄役をやりました。
当時、三島由紀夫の文体は私にはひどく堅苦しく、想像の余地がない感じで、役に取り組む上で大変難儀でした。

今、40歳を超えて改めて『班女』を読んでみて、まったく違う印象に驚いています。
実子、花子、吉雄の言葉が、自身の不安とかポリシーだけではなく、もっと大きな世界の中で、身動きが取れない、そういう行動を取らなくてはいけない、どうしようも出来ないなどの個人の枠から飛び出し、集団、組織、国に対する叫びのように聞こえてきます。

年齢によってとらえ方が大きく変わる。能がすごいのか? 三島がすごいのか?
文学ってすごいな! と感じずにはいられません。
少なくとも三島由紀夫の言葉にはいい意味でとてもエネルギッシュで制圧感を感じます。

その戯曲の力と大久保美智子の身体の力の戦いを是非劇場でご覧いただければ幸いです。
ライブだからこそ感じられる雰囲気、なかなか見ることの出来ないものだと思います。
ヒリヒリとした緊張感。テレビでは見ることは出来ない、演劇でしか出来ない空間を堪能してください。必見です。

浦 弘毅

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「班女」
2017年6月30日(金)~7月4日(火)
The 8th Gallery(エースギャラリー)
公演情報はこちらをご覧ください。
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