稽古場日誌
こんにちは。研修生の榎本倫子です。
本番に向けて劇団全体の熱が高まっていく中、研修生も、稽古の見学をさせていただいております。
今回上演する『傾城反魂香』。初めて台本を読んだときは、共感できる人物がほぼいなかった。
ほとんどの人物の言動が理解できない、この場面はいるのか? 等々、しっくりこない疑問でいっぱいだった。
特に、結婚のために輿に乗った銀杏の前が、みやに自分の夫を貸す場面なんて、本当に訳がわからなかった。
みやにも銀杏の前にも腹が立った。
しかし、稽古でその場面を観たときその気持ちは消えた。銀杏の前の気持ちや今後の人生を考えると、うるっときてしまった。
ああ、やっぱり凄い。理解できない文を感動に変えられるんだ、俳優は。
世界を用意し、その中にお客さんを吸い込むことができるんだ。
改めてそう感じた。
銀杏の前だけではない。又平夫婦の懇願、伴左衛門の死体を見つける場面など、話の内容だけでは良さがわからなかった場面がたくさんあった。
お客様方にはぜひとも、あらすじを読んでから来ていただきたい。それも、できればかなり詳しいものを。
理解し難い場面がいくつもあるはずだ。
そして劇場で、「この話、こんなに面白かったの?」「やっぱりここは理解できない」などど、答え合わせしてほしい。
榎本倫子
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『傾城反魂香』
2017年10月13日(金)~15日(日)
大田区民プラザ 大ホール
公演情報はこちらをご覧ください。