稽古場日誌

ぺとりこおる 川村 岳 2018/01/18

儀式

現在、研修プログラム修了公演『ぺとりこおる』に向けて絶賛稽古中です。
公演のテーマは「熱中したこと」「忘れていたこと」です。
どんな作品になるのか、ご期待下さい。

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先日親族の新年会があった。
私の親戚は皆都内に住んでいて、集まるとかなりの大所帯になる。
そして皆よく食べるし、よく喋る。
テンションが下がることなくいつまでも騒ぎ続ける。
それなりに歳を重ねているのに、衰え知らずの連中だ。
私は大人しく端でチビチビと酒を飲むばかり。

そんな中、毎年恒例の儀式が始まった。
儀式、それは「お年玉」のことである。
大人がひとりひとり子供の名を呼び、呼ばれた子は親戚の前で新年の抱負を述べてやっとお年玉を手にする。
年初の通過儀礼の様なものだ。

小さい子は自分の名前を呼ばれると「ハーイ!」と元気良く返事をして立ち上がるが、成長するとこのプロセスが少し異なる。

お年玉を貰う順番は年齢順なので、自分がいつ呼ばれるのかは予想出来る。
そんな中ワクワクと待っているのは意地汚いと思うのか、成長するとまるで「お年玉?   あーあったねそんなモノ…」という態度を見せる。
そのクセ名前を呼ばれると一目散に駆け寄って来る。

つまり「装っている」のだ。
これを新年会における感情抑制訓練と私は名付けている。
欲しくて欲しくてたまらないお年玉をシレッと受け取る様子を見て私は「うーん、大人になったな…」とシミジミ思う。
※ あんたもあんな感じだったわよ、と母に言われた。忘れていた。人の事は言えない。

しかし彼らは知らない。
数年後、儀式で名前を呼ばれなくなった絶望の後に待っているのは「お年玉をあげる側」だということに…。

川村 岳

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2017年度研修プログラム修了公演「ぺとりこおる」
日程:2018年2月21日(水)~25日(日)
会場:大森山王FOREST
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2018年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
オーディション開催中
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