稽古場日誌

ぺとりこおる 大久保 美智子 2018/02/02

水戸黄門

現在、研修プログラム修了公演『ぺとりこおる』に向けて絶賛稽古中です。
公演のテーマは「熱中したこと」「忘れていたこと」です。
どんな作品になるのか、ご期待下さい。

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ずっと長いこと忘れていましたが、小学生の頃テレビの「水戸黄門」に熱中していました。
時代劇マニアという訳ではないし、水戸光圀についても何も知らない。
ですがなぜだか一時期夢中になって水戸黄門を見ていました。
小学校の3,4年生だったような。
今の小学生のように習い事だ塾だと忙しいことは全くなく、毎日暇でした。

男性アイドルには食指が動かず、当時誰が好きだったのか? といえば、黄門さまの家来「助さん」でした。
平日の午後4時頃と記憶しているのですが(再放送だったのかな?)、水戸黄門の放送時間には必ずテレビの前に居なければ嫌で、友達に遊ぼうと誘われても「水戸黄門が見れるならいいよ」という条件を出していました。
よくこんなわがままを許してくれていたものです。

ある時、我が家に友達が来てトランプをしていました。
水戸黄門の時間になったので、私はテレビをつけ、トランプは上の空となり、母が怒ってテレビを消したことがあります。
私はふてくされ、ぐずり、泣いたかも知れません。
友達が「いいよ……そんなに見たいなら見なよ……」という感じになり、私は意気揚々と再びテレビをつけかぶりついて見たのを、おぼろげながら覚えています。

何が私をそんなにも駆り立てていたのか、今ではさっぱり分かりません。

そしてそんなに夢中だったのに、一話も記憶していないのが不思議です。
俳優さんのお顔はギリギリ思い出せますが、お話はきれいさっぱり忘れています。

記憶っておもしろいですね。自分の記憶のはずなのに、自分で取捨選択できない。
忘れてしまいたい、記憶から消し去りたい事ほどずうっと残るし、忘れたくないものほどするりと抜けていきます。
記憶貯蔵庫の取捨選択権を私自身に任せてくれれば、もうちょっと楽なのに……とは思いますが、きっとこの記憶貯蔵庫の深いところには「私」を超える記憶が眠っているんだろうなとも思います。

そこら辺に触れてくるお芝居が立ち上がれば、それはもう大成功でしょうね。
研修生の修了公演「ぺとりこおる」に期待します。
そして自分もそんなお芝居がしたいです。

大久保 美智子

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2017年度研修プログラム修了公演「ぺとりこおる」
日程:2018年2月21日(水)~25日(日)
会場:大森山王FOREST
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2018年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
オーディション開催中
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