稽古場日誌

ぺとりこおる 佐々木 啓 2018/02/11

忘れたままがよかった

現在、研修プログラム修了公演『ぺとりこおる』に向けて絶賛稽古中です。
公演のテーマは「熱中したこと」「忘れていたこと」です。
どんな作品になるのか、ご期待下さい。

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最近、何の前触れもなく忘れていたことを思い出すことがある。
もちろん忘れたままでいたかった思い出も……。

高校2年生のときクラスメートのある女子が僕のことを好きだという噂がたったことがあった。
その女子はクラスでも目立っていたしクラスの皆にも人気があった。
いやいや、所詮噂だろうと思っていたのだが、授業中にチラチラこちらを見てきて目が合うことがあった。
何故か僕と同じ委員会に立候補したりしていた。

授業中に後ろの席の男子が「アイツお前と付き合いたいって」と言ってきた。
その女子の方を向くとこちらをジーと見ている。
後ろの席の男子が「嬉しいだろ、告っちゃえよ」と冷やかす。
後ろだけでなく周りの男子たちも冷やかしてくる。
それも野球部とかサッカー部のイケてる奴らが。

大きな圧力を感じた。

その日の下校時、下駄箱で女子生徒と男子生徒たちが僕を見て冷やかしてきた。
下校途中にその事を思い出したら、急に気持ち悪くなって家で吐いた。
「今は勉強だけで精一杯なんだよ」「なんでお前らに俺の人生決められなきゃいけないんだよ」「そっとしておいてくれよ」「好きな時に好きな人に告白するから」「ほっといてくれよ」
そんな心の声を叫んでいたような気がする。

それからは周りの冷やかしは無視して例の女子生徒とも距離をとるようにした。
自然とその噂も消滅していった。
もし、その女子生徒が本当に僕のことが好きだったのなら本当に申し訳ないことをしたと思う。
その一方で僕には女子から好かれる要素が無かったので単なる噂だったとも思う。

思い出しても全く気持ち良くならない思い出。
思い出したくないから忘れたのか、ただ単に忘れたのかよく分からない。
が忘れていた方が楽なことあると今回痛感した。
忘れたままの方がよかったなぁ……。

佐々木 啓

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2017年度研修プログラム修了公演「ぺとりこおる」
日程:2018年2月21日(水)~25日(日)
会場:大森山王FOREST
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