稽古場日誌

うリアしまたろ王 中川 佐織 2018/09/28

劇団って……

今回稽古場日誌は「稽古場ではこんな事が行われている! 」をテーマにレポート形式でお送りします。創作作業が行われている現場の様子をお楽しみ下さい!

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劇団内部では、公演ごとにそれぞれに仕事の割り振りがある。私でいうと、役を演じる職業、稽古場日誌をアップするための業務、公演に向けて稽古の方針を整える際に付随する雑務の仕事。もちろん私だけでなく、演出に関わること、演技に関わること、制作に関わること、劇団を知ってもらうための営業、舞台の仕込み、公演とは別件の劇団で行う外部の仕事を並行で行うなど、職務、業務、雑務etc.
さまざまなことを必要に応じてそれぞれが行い、運営されていく。会社と同じだ。
しかし、山の手事情社主宰の安田雅弘は言(っていたような気がする)う。
「お金儲けで演劇をしていない。でも、演劇は社会に必要だ」
私はモヤモヤした気持ちになる。矛盾していないか? なぜ、稼がない? モヤモヤモヤ……はっ! これは、筏(いかだ)だ。フェリーで豪華にも、クルーザーでカッコよくも、ヨット、ボートと船は色々選べたのに、筏に心惹かれて冒険に出てしまったのだ。なんでか私はそこに乗ってしまったのだ。どうして筏で海に出ちゃったかなぁ〜と、たまに思う。筏じゃんっ! とツッコミ、嘆くときもある。
でも、こんな趣の深い船に乗って荒波を越えていく奴らに憧れて、丸太を一本しか用意していなくても追いかけている私が本望であり、現状なのである。
『うリアしまたろ王』……いろいろと厄介です。
新作、リア王という大作で演技は非常に難しい。そこに浦島太郎が入ってくる上に、「存亡の危機」のこともある。
筏で絶賛嵐の荒波に揉まれている。でも、メンバー全員、演劇のために筏を放棄しないのである。

中川佐織

劇団山の手事情社公演『うリアしまたろ王』
日程=2018年10月18日(木)~21日(日)
会場=東京芸術劇場 シアターウエスト
詳細は こちら をご覧ください。

うリアしまたろ王

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