稽古場日誌

うリアしまたろ王 名越 未央 2018/10/04

身体と書いて、カラダと読む。

今回稽古場日誌は「稽古場ではこんな事が行われている! 」をテーマにレポート形式でお送りします。創作作業が行われている現場の様子をお楽しみ下さい!

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「身体から何も読み取れないよ!」
「その身体と感情リンクしてないだろ!」
「もっと身体に悲鳴をあげさせろ!」

今日の稽古場でのダメ出しの一部だ。みな四苦八苦しながら、身体で演技することを追求している。

山の手事情社的身体表現と言うと、私はよく彫刻を思い浮かべる。

彫刻のいったい何がグッとくるって、言葉も背景もなく、身体だけでその人間の内面をめちゃくちゃ豊かに物語っているところ。

苦悩し身悶えする身体。
喜びに打ち震える身体。

もちろん彼らは止まっている、悶えてない震えてない。それなのに、どうだこの爆発的な表現力は。嫉妬するほど素晴らしいパフォーマーなのである。

先日上野で見た、ミケランジェロと理想の身体展も非常に興味深かった。
理想の身体とは、プロポーション的な美しさだけでなく、その人間の一瞬を最もドラマティックに魅せるべく、いかに大胆かつ繊細に身体に反映させているかが鍵なのだ。

私たちも、そういう理想の身体を探しているのである。

しかもおもしろいことに、そうやって見つけた身体は、さらに自分の感情を盛り上げてくれるという相互作用がある。そういう身体に出逢えたら宝物を見つけたみたいにワクワクする。ただし理想の身体は、役によって、役者によって、それぞれ違うから、必死にトライアルを繰り返して探し続けなければならない。

それぞれの理想の身体にいったいどれだけ近づけるのか?
どうか劇場に目撃しにいらっしゃってください。

名越未央

 

劇団山の手事情社公演『うリアしまたろ王』

日程=2018年10月18日(木)~21日(日)
会場=東京芸術劇場 シアターウエスト
詳細は こちら をご覧ください。

うリアしまたろ王

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