稽古場日誌

うリアしまたろ王 菅原有紗 2018/10/13

アイディア力×実行力=シーン誕生

今回稽古場日誌は「稽古場ではこんな事が行われている! 」をテーマにレポート形式でお送りします。創作作業が行われている現場の様子をお楽しみ下さい!

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森下スタジオ入りして数日。
稽古前に来れる人で大道具の製作。稽古で使い勝手をみて帰り際にまた修正。広い稽古場で実際の大道具のなか稽古出来るのはとてもありがたい。
しかし驚いたことは、先輩俳優達自ら先陣をきって作り始めたことだ。もちろん、演出の安田氏を筆頭に演出部の面々や幹部で方向性を決めたり、物を揃えたり、アウトラインは整えてくれている。
そして、いざ作るぞ! となると、演出部とか俳優部とか関係なく全員でたかる。作る物ごとに自然発生的にリーダーが出来、その人を中心に様々な実験が試される。外の現場で大道具として働くこともある身としては、
「そんなに細かいところまでこだわりますか!? 」
「数百円の為にこんなに涙ぐましい努力を……」
と驚きの連続だが、皆であーだこーだ言いながら作るのはとても楽しい。

そんな中、今日の稽古では新しいシーンが出来た。
大人数が入り乱れるシーンなのだが、実際に大道具を置いて実寸で動いてみたら、大道具に干渉してしまうという問題が発覚した。
どうしたものか頭を抱えていると、山本氏が「大道具を動かしたら?」と言い放った。周りがざわざわしているのをよそに手で動かし方のイメージを説明し始める。そこにすかさず「だったらここまで持ち上げればさ」と高々と持ち上げる斉木氏。「あ、確かに。ここまで持ち上げれば歩きやすいんだ」と検証し始める浦氏。
おいおい、何なんだこの人たちは。
あっという間に踊る大道具達のシーンが出来上がり、もともとのシーンがより立体的になった。
自分たちで実験しながら作っているからこその強みである。
まだまだ本番まで進化し続けるであろうこの『うリアしまたろ王』。是非劇場で目撃して頂きたい。

菅原 有紗

劇団山の手事情社公演『うリアしまたろ王』

日程=2018年10月18日(木)~21日(日)
会場=東京芸術劇場 シアターウエスト
詳細は こちら をご覧ください。

うリアしまたろ王

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