稽古場日誌
今から二十年前。
私が劇団の研修生になった時の事。
始めて劇団の稽古に参加した日の事をはっきりと覚えている。
何故なら、あまりにもトレーニングがハードだったから。
ランニング、柔軟、筋トレ、発声……と延々と続くメニューにもうヘトヘト。
薄れゆく意識の中私は悟った。
それなりに体力には自信があったのに……演劇って体育会系だったのね……。
その後体調も回復し、先輩達の稽古を見学した時の事。
「何やらわからんが、すごい迫力だ！」
ピリピリした雰囲気の中、大人が汗まみれになって大声を出している。空間を成立させようと思考は常にフル回転。スポーツの様でもあり、思考のぶつかり合いの様だった。
一番驚いたのは、その稽古は台本を使ったものではなく、具体的に次回作に向けたものでもなく、ただ日々の鍛錬として行われているという事だった。
こんなコトを毎回やっていたらとんでもない作品が出来上がるんじゃないか？ と感じたものだ。
あの時感じた訳のわからないエネルギーが私の研修生時代を支えたし、今も背中を押す原動力になっている。
川村 岳
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