稽古場日誌
あたしのおうちは、朝コーヒーを頼むとゆでたまごとサラダがサービスでついてくる地域にあり、お正月にはそのおうちに帰省するのだが、おうちの朝は必ず母親とコーヒーを飲みに出かけるのだ。
ゆったりとした席の配置と暖房のよく効いた店内は、とても居心地のよい空間で、ときには数時間、母親とそこで過ごす。
あたしのおうちの母親は老眼鏡をダブルがけし、たいていはハードカバーの分厚い本を読んでいて、一昨年はドストエフスキー、昨年はメルヴィル、今年はスタンダールを読んでいた。
母親にしたら、ただの娯楽で、ぼくらが漫画を読んでいるような感覚なんだと思う。たぶん。
そういえば、あたしのおうちには、SFと冒険ものの少年向けの全集があって、もちろんすべて読破したし、それだけでは飽きたらず学校の図書館で乱歩やらドイルやらを借りてきて、コタツに潜り込みながら読みふけったものである。
ただ、今も昔も、話の筋はわりとどうでもよくて、活字を追って、それが脳内で変換されるのが、ただ気持ち良いのだ。
脳みそに言葉をじゃんじゃん入れると、じゃぶじゃぶと揺さぶられて、得体の知れないものがどぴゅどぴゅと飛び出すのである。
あたしのおうちは、そんなおうちだが、今回の『あたしのおうち』はどんなおうちだろう。
斉木和洋
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2018年度研修プログラム修了公演『あたしのおうち』
日程:2019年3月6日(水)~10日(日)
会場:大森山王FOREST
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2019年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
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