methods＆過妄女 山口 笑美 2019/05/29

小さな恋のメロディ？

「あっ！　こうちゃんだ～♡　おはよ～いっしょにいこ～」

息子の保育園のクラスメートですごくかわいい女の子が、ある時から息子を見るなり駆け寄ってラブコールをくれるようになった。

毎朝保育園内に入りたがらず大暴れ泣きまくりの息子だったが、彼女の「こうちゃ～ん♡」のおかげでチョーご機嫌。
「いっちょにいこ～」
と二人で手を繋いでクラスに入っていく。
いつも二人で元気よく追っかけっこ。
息子はきゃーきゃー彼女のお尻を追いかけ、そして二人でぎゅ～っと抱きあっている。

まだ2歳。
本人達にしたらまだ恋だの愛だの異性だの関係なくただ無邪気に遊んでいるだけ。
でも私の心はきゅんきゅんさせられ、勝手に将来のことまで妄想は広がっていた。

しかし、ある日を境にその“小さな恋のメロディ”はぱったりと終わった。

女心って……。

ほらほら息子はしょんぼりしているよ。
って、私の方がしょんぼりしている。

そういえば、小学校の低学年の頃に、ある男の子の家に毎日遊びに行っていた。
ある日を境に男の子とは全く遊ばなくなった。
特に意味はなく。
そして数年経った卒業式の日、その男の子のお母さんから
「えみちゃん！　前はいつも遊びにきてくれてありがとう。忘れないでまた遊びに来てね」
と声をかけられ、私のこと覚えていてくれたんだとビックリした記憶がある。

今、そのお母さんの気持ちがよく分かる。
思い出すと泣きそうだ。

これからは自分のことより息子の恋の行方に一喜一憂してしまいそうだ。

そして将来“小さな恋のメロディ”じゃない年齢になった頃、
｢僕のことはほっといて！｣
とトレープレフのセリフのように言われてしまうのかな。

山口笑美

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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『methods』2019年6月21日(金)～24日(月)
『過妄女』2019年6月26日(水)～30日(日)
会場＝下北沢 ザ・スズナリ

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