稽古場日誌

methods&過妄女 安田 雅弘 2019/06/18

《ショート・ストーリーズ》って

間もなく公演が始まる『methods』の、3分の1近い時間を占めてお見せする、《ショート・ストーリーズ》について少しお話ししたいと思います。

《ショート・ストーリーズ》というのはつまり「寸劇づくり」のことです。本来は寸劇を作ることで、身近な「ドラマ」に敏感になる稽古です。シェイクスピアや近松門左衛門の台本から、さまざまなドラマを読み取り、バリエーションのある解釈を進めていくには、ドラマを感じる広くて深いセンサーが必須です。その部分を鍛えるためのトレーニングです。

『methods』ではどのようにお見せするかというと、その日お客さまから「お題」をいただいて、即興で5分程度の「寸劇」を作り、上演します。創作時間は45分ほど。作るチームも当日抽選で決めます。場所や時間・季節の設定から、それぞれの登場人物の役柄、ストーリー、必要な小道具類の調達まで即興です。

その稽古が進んでいます。即興シーンの稽古というのは、とにかく即興を繰り返すしかありません。4月から始めてすでに何十本、ひょっとすると百本以上作りました。
たとえば「令和元年」「トランプ大統領来日」「登戸の通り魔殺人事件」というようなお題で寸劇を作ります。そのお題を直接お芝居にするわけではありません。舞台は誰かの部屋だったり、会社の一室だったりします。そこで上記お題とはおよそ関係のない場面が展開し、ドラマとして完結します。上演後、どこに「令和元年」が含まれていたのかを尋ねると、「代替わり」という解釈で、部屋の住人が若い人に代わっていたり、新しい社長が就任していたり、という具合に、寸劇の中に取り込まれていることがわかります。
落語の三題噺を芝居で見ているような醍醐味があります。

過去の上演映像があります。結婚式が終わった後の友人の家でのできごとです。《ショート・ストーリーズ》の魅力の一端を味わっていただけると思います。
https://youtu.be/19Th9n9pfg0

『methods』では日替わりで、半分のメンバーがこの《ショート・ストーリーズ》に取り組みます。お客さまにびっくりしていただいたり、笑っていただいたりして楽しんでいただけるように日々稽古を繰り返しています。
どうぞご期待ください。

安田雅弘

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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『methods』2019年6月21日(金)~24日(月)
『過妄女』2019年6月26日(水)~30日(日)
会場=下北沢 ザ・スズナリ

詳細は こちら をご覧ください。

『methods』&『過妄女』

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