稽古場日誌

テンペスト 川村 岳 2014/11/28

トラブルの先に

最近自転車を新調しました。
白いロードタイプの自転車です。

せっかちな私は電車に大人しく乗っているのがどうにも我慢なりません。
好きな時に乗れ、終電を気にする必要の無い自転車を稽古場移動に愛用しています。
鍵はサドルの支柱から伸びているワイヤータイプ。鍵そのものを持ち歩く必要は無く便利なヤツです。

自転車を新調して一週間が過ぎた頃、稽古が終わり
「さ、帰るぞ」
と自転車に颯爽とまたがり走る中、暫くして違和感が。
カラカラ・・・カラカラ・・・
一定の間隔で何やら後輪から耳慣れないサウンドが。
と同時に、
「俺、鍵を解除してないよな・・・でも走れてるよな・・・」
としばし混乱。
自転車を止めて後輪を見るとサドル固定部からブチ切れたワイヤー鍵がスポークに絡まってます。
おい! 
意味ないじゃん、この鍵! 
鍵かけたまま走れてるし! 壊れたし! 

怒りの感情が湧き上がったその後に訪れたのは
「イヤッホー!  良いネタ仕入れたぞ〜」
という歓喜でした。

トラブった経験は創作上大変参考になります。
思えば学生時代は無遅刻無欠席、喧嘩もしない平和主義、親を心配させない様に真面目に勉学に励んでいました。
トラブルとは無縁な生活。
怒らない慌てない。

が、表現(私の場合は演劇)に携わる様になってからはトラブルの連続でした。
俺「ふざけんなコノヤロー」
俺「あわわ、ど、どうしよう〜」
俺が俺に叱咤し、俺が慌てる。
詳しくは書きませんがこの繰り返しです。

若い頃は安定しない自分の内面とキチンと向き合っていなかったのでは? 
とも思い返されます。
俺が思う俺はひとつの俺であり、違う俺がもっとあるハズだ、という仮説のもと日々精進しております。

川村岳

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