稽古場日誌

ダイバー研修生 研修生 2015/03/11

良くも悪くも正直に/梅津一博

稽古の夢を見るのです。ベタ稽古一ヶ月の間ほぼほぼ毎日。
普段夢なんて全く見ない僕が。寝た気がしませんね。
まぁでも一応寝てるには寝てるので体の方はめちゃめちゃ元気ですけどね。

最近、虫の動画を見てました。
僕は、おばけとかはまぁそんなに、という感じなのですが、虫だけは大の苦手です。
というのも、怖がり男アンドレースを演じるにあたって、怖がりの人の感覚ってどんなのだろうと思い、それに至ったのですが・・・ まぁ怖い!
虫の顔とか形とか色とか飛び方とか、恐怖でしかない。
それから稽古の夢が、虫の夢に変わりました。

今回の修了公演の軸となる戯曲の主人公ヴォイツェク。
彼も夢に悩まされます。しかも、起きている間に見る白日夢。夢っていうよりかは幻覚や幻聴の方でしょうか。
何者かがずっとヴォイツェクに語りかけてきます。僕みたいな平和な夢と一緒にしちゃ駄目ですね。

でも夢って不思議だなと思います。自分でも忘れてたような人が急に出てきたりしますよね。
起きた時「なんであの人、夢に出てきた・・・?」みたいな感じになったり。
あと一番不思議なのは、未体験の事なのにその感覚とか景色とかが妙にリアルな時がある事です。
でもそれって結局、自分の中のイメージなんですよね。自分が感知できてない深層心理のイメージが出現した事に驚いてるだけなんだと思います。

「あの牝狼を刺し殺せ」と語りかけてくる声も、結局はヴォイツェク自身が認めたくない本心で、他者が植え付けたようにすることで自分の考えを正当化したんだと思います。

でも自分の深層心理が語りかけてきてくれるというのは、俳優にとっては非常に助かることだなと。
まぁそうもいかず、結局自分から潜るほかないんですが。
自分の中のリアルを正直に受け入れ 、それを行動に移す。
ヴォイツェク、役者だね~~。

梅津一博

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