稽古場日誌

タイタス・アンドロニカス/女殺油地獄 佐々木 啓 2015/09/20

江戸時代の金銭感覚豆知識

著作権者:World Imaging、ライセンス:CC by-sa World Imaging、<https://ja.wikipedia.org/wiki/小判>

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江戸時代の物価や金銭感覚は現代に比べてとても複雑でした。
まず、現在ならお金の単位は円だけですが江戸時代はお金の単位が幾つも存在します。
それが両、分、朱、貫、匁、分などです。(実際には更に細かい単位が存在します。)
更に江戸時代では金、銀、銭、の三種類の貨幣を使用していました。 金は主に東日本で使われ銀は主に西日本で使われていて、金は数で数えるので計数貨幣、銀は重さで測るので秤量貨幣とも言います。 当然金を銀に変えたり銀を金に変えたりするのはとても大変なこと 。それを専門で行っていたのが両替商と呼ばれる人たちでした。三井や住友もこの時から存在していました。また、金では両、分、朱が使われ銀では貫、匁、分などが単位として使われていました。『女殺油地獄』では舞台が大阪なので主に銀が使われています。

次に『女殺油地獄』作中に登場するお金の金額を円に換算するとどのぐらいの価値になるのか紹介していきたいと思います。
江戸時代の一両が現在では何万円分の価値があるのか、それは専門家でも意見の分かれるところです。
ここで紹介するのは、一両=約八万円で計算した金額です。

・与兵衛の借金銀二百匁=約二十六万円
・五日の太陽が昇ると借金が増えるその時の金額、銀一貫=約百三十万円
・七左衛門がお吉に預けた売掛金銀五百八十匁=約七十五万四千円
・徳兵衛とお沢がお吉に託した銭八百文=約一万六千円
となります。

『女殺油地獄』ではお金の話が度々出てきます。 出てくる金額が今では大体どの位の価値があるのか等にも注目して頂けるとより深く作品が楽しめると思います。
劇場でお待ちしています。

佐々木 啓

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