稽古場日誌

こんにちは、俳優部の高橋です。
今回は二本立て公演ということで、劇団員一同絶賛稽古中でございます。

作品は「タイタス・アンドロニカス」と「女殺油地獄」

どっちも悲劇かよ!

しかし、いざ悲劇って言われても僕はピンとこない。だって僕の日常生活において、悲劇的だったことなんて何一つない。

例えば、大好きだった祖母が亡くなったことや、高校受験に落ちたことや、買ったばかりのバイクでこけたことや、裕福だと思っていた実家が借金だらけだったことや、母親が今まで年齢を逆サバしていたことなど、どれもこれも悲劇と呼ぶには、なにか物足りない。

でもだ、一つ一つのネタは悲劇じゃなくても、全部一人の経験にすると中々悲劇的な人生になる気がする。

おお、僕の存在そのものが悲劇だったのか!

っておい!!!!!!

んなことはどうでもいいんだよ!!!

それより僕は「女殺油地獄」でそんなキャラクターを見た記憶がある。

主人公の与兵衛だ。
彼は行く先々で、元々は自分の行いが原因とは言え、これでもかというほど災難にあう。それが直接の原因となったかは分からないが、商売仲間の油商人の妻であるお吉を殺してしまう。

こんなダメダメの与兵衛に、ダメダメの僕は凄い親近感を感じてしまう。
僕は今現在、殺人なんか絶対犯さないと考えているが、それは与兵衛も一緒だったかもしれない。
与兵衛の何が殺人をさせてしまったのか。

僕は、ある日何かがキッカケで日常から非日常に変わる怖さを、この演目を読んで感じた。

そんな非日常を味わいたい方、是非ご来場をお待ちしております。

高橋真理

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『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』、両作品が「悲劇」であることにちなんで、「私と悲劇」をテーマにした稽古場日誌を連載中です。
それぞれの生活感あふれる「悲劇」をどうぞお楽しみください。

『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html

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