稽古場日誌

タイタス・アンドロニカス

私の夫。

これは、私の台詞です。
タイタスの妻を演じます。

妻は劇中、誰とも会話をしません。
夫と目を合わせることすらしません。
何故なら次元が違うところに存在しているからです。
初めから終わりまで、ほぼ舞台におり、
その大半は正座をしています。

さて、稽古場の風景です。

数時間、同じシーンを数回繰り返します。
その大半は正座をしています。

ずっと正座です。

軽い拷問ですが、それを自分に仕向けるSな私と
受け入れるMな私でなんとかやっています。

タイタスの妻はシェイクスピアの台本には存在しません。
今まで上演、上映された中にも出てきておりません。
420年の歳月の中、山の手事情社の公演にしか出てきません。

24人息子がおりました。
娘は何人いたかは分かりません。

タイタスの妻が産んだ息子は
せいぜい10人位だろうと思っています。
後は、ある日突然、夫タイタスが

「この子にも飯を食わせてやれ」

と、他所で産ませた男児を連れてきたと考えます。
アンドロニカス家は武将の家です。
戦うことでご飯が食べられるので文句も言えません。
戦士を育てるために頑張ってきた夫、それがタイタスです。

妻は毎日何を考えていたのか?
そればかり考えて私の毎日が通り過ぎて行きます。

稽古が続く限り、私の正座も続きます。

その勇姿を
ぜひ吉祥寺まで見にいらしてください。

水寄真弓

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『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html

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