稽古場日誌

タイタス・アンドロニカス/女殺油地獄 安田 雅弘 2015/11/11

「女殺油地獄」について

12日木曜日から「女殺油地獄」が始まります。
3年前にルーマニアで製作しましたが、今回は全くコンセプトを変えました。
油屋の不良息子が、近所の別の油屋の奥さんを借金苦の中、衝動的に殺してしまう話です。
歌舞伎や文楽だと、不良息子・与兵衛がただ一人悪者で、あとの登場人物は善良そのもののように描かれていて、どうして与兵衛がこのような人間になったのか、については納得できる部分がなく、むしろ二枚目俳優・人形の「ワル」の魅力に、焦点を当てる演出になっているように思います。

私たちは今回、ダメなのは与兵衛だけではないだろう。
地獄をみたのは、与兵衛とお吉だけではないだろう。
すべての人がダメで、それぞれに地獄を背負っているのではないか。
という仮説のもとに製作に入りました。
すると、かなりなまなましい、現代でも十分に起こりうる出来事が芝居になっていることがわかりました。
少し寒気のするような舞台になると思います。

安田雅弘

******************************
『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html

稽古場日誌一覧へ