公演情報

[2003年]トロイアの女

劇団山の手事情社公演

オイディプス@Tokyoにつづく山の手事情社ギリシア悲劇 第2弾

有名な「トロイの木馬」の奇計で敗北したトロイアでは、男たちは皆殺しにされ、女たちは奴隷にされた。トロイアの王妃・ヘカベは、夫、息子たち、娘を殺される。生き残った娘・カサンドラはギリシアの総大将・アガメムノンの慰み者となり、嫁のアンドロマケはアキレウスの息子・ネオプトレモスの妻として奪い去られ、自身もオデュッセウスの婢女として連れられていく…。

『オイディプス@Tokyo』を観て
山形治江(ギリシア劇研究家)

まず舞台装置が見事でした。演出の表現方法として、舞台装置をこれほど効果的に利用した芝居は本当にめずらしく思いました。白布に覆われた台形舞台は、けがれなき平和の国「神国日本」に見え、その周囲を取り巻く、透ける白カーテンは、暴力が支配する危険な状況にある他国と隔てる、はかなくもろい境界線に見えました。また、パソコンの画面は外界(国際的状況)を伝える媒体で、それは日本人が無意識的に触れることを避けてきた「腫れ足」の象徴であり、白台の上に生きる人たちが決して見ようとせず追求もしない現実だと感じ、非常に面白かった。

この矛盾

「むごたらしい」「くりかえすべきではない」といわれながら、戦争はおこりつづける。矛盾している。おそらく戦争は気持ちいい。「やらなきゃならん」という気分になる。くだらない理由のために尊い人が大勢亡くなる。矛盾している。戦争に勝ったことが原因で国がほろびる。敗れた土地にひどく尊厳を感じる人を見出す。どれもこれも矛盾している。現代の話ではない、2500年以上前のギリシアのできごとである。
昨年の『オイディプス@Tokyo』、『狭夜衣鴛鴦剣翅』など、山の手事情社はここ数年古典作品にとりくんでいる。しかし、私はそれらを古いと感じたことは一度もない。今の世界や人間を描くのに、何てビビッドな作品たちだろうと、現代演劇の作り手の一人として強く感じている。
この矛盾の中に私たちは生きている。矛盾しているから人間は面白い、そして美しい。
(安田雅弘)

演出ノート

構成・演出

安田 雅弘

キャスト

倉品 淳子
山本 芳郎
内藤 千恵子
浦 弘毅
三村 聡
大久保 美智子
水寄 真弓
太田 真理子
斉木 和洋
岩淵 吉能
野々下 孝
山口 笑美
井上 奈保未
森谷 悦子
久保村 牧子
鴫島 隆文
名久井 守
中村 智子
本名 貴子
野口 卓磨
横田 七生
後藤 かつら

照明=関口祐二(balance,inc) 音響=斎見浩平 舞台監督=海老沢栄 衣装=渡邉昌子 宣伝美術=福島治 演出助手=小笠原くみこ 制作=高橋桃子・福冨はつみ

製作=UPTOWN Production Ltd.

共催=くりっく世田谷文化生活情報センター

2003.5.15 - 6.1 [ シアター・トラム]

 

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6/1
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14:00 ● ●
19:30 ★ ● ● ● ● ● ●

 

★プレビュー公演★5/25日(日)19:30の回は全席3,500円
[ 料金 ] 全席指定 前売 4,000円 ・当日 4,500円
[ 料金 ]学割 3,000円(劇団予約のみ、受付にて学生証提示)
[ 料金 ]SePT倶楽部割引 3,500円(ぴあ・くりっくチケットセンターのみ)
[ 料金 ]世田谷区民割引 3,800円(くりっくチケットセンターのみ)
[ 料金 ]/前売開始:2003.4.12(土)
※各種割引は前売のみ

 

[チケット予約]山の手事情社 …[]
山の手事情社 …03-6410-9056 ticket@yamanote-j.org
チケットぴあ …0570-02-9988(演劇専用)
くりっくチケットセンター …03-5432-1515

[ お問合せ ] 山の手事情社/UPTOWN Production Ltd. 03-6410-9056

 

Theater Guide Online劇場の地図はシアターガイド・オンライン「劇場案内」を利用させていただいています。

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