10/05/17
運命に翻弄される運命
「オイディプス王」を山の手事情社が初めて公演したのは2002年。
東京、鳥取、静岡、香川、ポーランド、そして今度はルーマニアと8年の年月を経てよりクォリティーの高いものになりつつあります!
ですが、私も8歳年を取ったわけでやはり肉体的にきつくもあります。
そして追い討ちをかけるように昨年患った40肩‥
この「オイディプス王」の作品では男優は相当肉体を酷使する作品になっている。
過去にも稽古で前歯を二本折ったり、足が二倍にはれ上がるくらいの大怪我をしたりとかなりハード!
男優は縦横無尽に舞台を転がり、駆け回る。
稽古では昼からぐるぐる回って身体もふらふら、頭もクラクラ。夕方にはもうヘトヘトである。
休憩の時は男優は死体のように転がっている。
岩淵は大の字に仰向けになり、めがねが傾き眉間に皺を寄せ目を閉じている。
斉木も大の字になり頭が壁にもたれ首が垂直に立って目がうつろで異様な姿。
川村さんはなぜか「住み慣れたっ、我が家に‥‥」と吉幾三の物まねをやっているが目が死んでいる。
文はきつそうだが初舞台ということもあるのだろうか、まだ気が張っているようだ。
一瞬無言になった後、なぜか各人、吉幾三の物まねになった。まるで発声練習のようだ。
その後、所ジョージやら、なにやらといろいろな物まねに変化していく。
頭がぼ〜としてくる。
そしてまた男優は稽古を再開し回転運動やら、ドタバタと身体を痛めつけ、変な声を出し、あ〜でもない、こ〜でもないと
意見を交わしていく。
そして21時を回った。ここからは体力も限界に達し、怪我をしやすくなる時間帯だ。
そのことを皆わかっているので少しピリッと集中してくる。
岩淵がおもむろに「君は1000%〜」とカルロス俊樹&オメガドライブを歌う。
私もその歌声になぜか少し勇気付けられる。完全におかしくなっている。
川村さんはラムーの「愛はこぉこぉろの仕事よ〜フ〜ウ」と歌っている。
決してふざけているわけではない!むしろ自分を奮起させるためにやっているのだ!
でも完全におかしくなっている。
そんなこんなで急ピッチで作品が創られている現場でした。
浦 弘毅