11/05/20

傾城反魂香/ルーマニア

段ボール枠の役目

稽古場も森下スタジオに移り、
今は実際の舞台の広さで稽古できるようになりました。

それでこの間、演技の立ち位置の確認稽古をしたのですが、
演技エリアをわかりやすくするためにダンボールで作った枠を舞台上に置いて稽古をしたのです。

この枠は、前日に今回出演しない若手が、
一生懸命ダンボールを細く切ってつなげた手づくりのものでした。

最初はエリアがとてもわかりやすく、よかったのですが、
舞台上に貼りつけずにただ置いた枠なので、
稽古中にほとんどの役者さんが足を引っ掛け、
仕舞いには“ビリっ”と破ける始末。
テープで補修するも、「これジャマだな」と舞台から取り去られ、
今は隅っこに“クシャ”っと置かれています。

この枠づくりに僕は関わっていなかったのですが、
結構時間をかけて作られ、大変だったらしい、
と事前に耳にしていた僕は、
取り去られたとき、
「時間をかけて一生懸命作った人たちがかわいそう」
とは思わず、
あまりの呆気なさにほくそ笑んでしまいました。
すみません。

まあ、こういうこともありますよ。
決して無駄ではなかったと思いますよ、僕は。

さあ、いよいよルーマニアツアーが迫ってまいりました。

張り切っていきましょう!

谷 洋介

11/05/18

傾城反魂香/ルーマニア

刹那主義

ハキリアリという蟻がいる。
この蟻は集団の要である女王蟻が死ぬと新しい女王は作らず、
破滅に向かうという。

蟻に精神はないだろうけれど、
私はその生き様に侍の生と死に対する潔さを感じる。


(種の繁栄云々の事を考えるとそれでいいのか…
とツッコミたくなるけれど…。)

女王蟻が死ぬと自分達も終わると知っているのかはわからないけれど、
とにかく一瞬一瞬を必死で生きているように見える。

それはまさに刹那主義。

『傾城反魂香』の中に生きる人達は命懸け。
一瞬一瞬の中にも常に自分を破滅に追いやる何がが潜んでいる。

必死だからこそ、
劇中にあるような常識では有り得ない奇跡は起こるのだろう。

本番に向けてキラキラ輝くというか
もはやギラギラしてきた俳優達。

渡航まであと11日!

村田明香

11/05/17

傾城反魂香/ルーマニア

悲鳴

もう5月中旬…。
シビウ国際演劇祭本番まであと2週間となりました。

芝居はどんどん出来ており、
稽古場の雰囲気もピリピリしています。
安田の怒号、俳優のほとばしる汗。
湿度が人の熱気で80%を超えています。(実際の湿度計で観測)

休憩時間には大型扇風機で換気、
それでも足りずにウレタンマットを団扇代わりに熱気を扇ぎ出す。
まさにサウナ状態。
酸素の薄さは高地トレーニング並み。
そんな中で稽古をしております。

山の手事情社の基礎稽古に《二拍子》という稽古があります。
これは簡単に言うと感情(喜怒哀楽)を体で表現する稽古なのですが、
今日は二人一組で相手のポーズを見合い、
体に負荷をかけていく稽古をおこないました。
私は山本芳郎氏と組んだのですが、彼の身体性の高さには本当に驚かされます。
まず、動作にバリエーションがあり、澱みない。
本当は私が彼の動作に負荷をかけていかなくてはならないのですが、
しまいには私が彼の真後ろで真似をしていました。
一つ一つの動作が私の感覚になく、身体が悲鳴を上げている。
直線的な動きしかできない私にとって、
山本氏の動作は大きなヒントとなったように思われ、自主稽古でも実践してみる。
ここでも身体が悲鳴を上げる。
自分の不器用さに本当に呆れてしまう。
20分もやっているとヘトヘトになってしまう。

あと2週間、ここからが正念場。あがいてみせる!

浦 弘毅