11/07/04
旅行記
○飛行機にて
首都ブカレストに着陸真近の機内にて。
深夜、機内は真っ暗。皆疲れてうつらうつらしている中、飛行機は着陸に向けて下降し始める。気流で微妙に揺れる飛行機。
突然、客室乗務員の男性が懐中電灯を客席に向けて大声で叫びだした。
「○◇△@#!!」
何言ってるかさっぱりわからなかったが、どうやら立ち上がった乗客に対して怒っているらしい。
「おい、テメー! 何立ってやがんだ! アブねーだろーが座らんかい!」
てな印象だった。
怒られた乗客も「チッわかったよ…」
てな感じで渋々着席。
着陸直前に意味もなく立ち上がる客と容赦なく怒る客室乗務員。驚いてテロかと思ったよ。
空気を読んで二人とも。
○第一の都市シビウ
2年前初めてシビウを訪れた際に、偶然お洒落なレストランを見つけた。
その店は入口は狭いが中に入るとテラスに緑が溢れ、鳥の鳴き声がBGM代わり、出てくる料理も優しい味で稽古に疲れた身体を癒してくれた。
この幸せな時間を皆にも味わってもらいたく翌年劇団員を連れて行ったが残念ながら定休日。
今年こそはとまたもや劇団員数人連れてランチタイムに訪れました。
まず店に行くとイカツイお姉様がお出迎え。
「何名? …10名? ウップス」
と呆れ顔。
「じゃあ好きな席に座って…」
と気だるい案内。
注文が決まり谷が「エクスキューズミー」と言うと暫くしてお姉様がやってきて
「大きな声を出さないで! 私がひとりでやっているんだから、モウ!」
と説教。
「じゃあビール…」
「ハァ〜」
と溜息。
その後出てくる料理は不味くはないが、なんか味気ないものに。2年前の思い出補正が強過ぎたのか。
でも会計を済ませ店を出る時は
「ムルツメスク!(ありがとう)」
と満面の笑みを見せてくれた。
お姉様の人との距離感がわからない…
○第二の都市トゥルダ
終演後打ち上げ会場に向かう廊下で、地元のアラフォーらしき女性2人が興奮しながら話しかけてきた。
「ブラボー! 今のスペクタクルとっても良かったわ、ンマッ!(投げキッス) なんていうかオリエンタルな感じが刺激的! ンマッ!(投げキッス) それに面白い動きね、こんな感じ?(クネクネする) ワッハッハ! 真似出来ないわ! あ、私達地元のアクトレスよ。お互い頑張りましょ!」
と舞台で見た歩行を真似してすり足で去っていった。
○第三の都市ブカレスト
オフの日大型スーパーに入ろうとしたら、入口で携帯電話の契約チラシを配っているポッチャリしたおばちゃんがいた。
日本人の集団を見ると
「ちょっとお話し良いですか? ブカレストは初めて?」
とそこそこ流暢な日本語で話しかけてきた。とびっきりな笑顔で。ちょっと驚いたが急いでいたので
「2回目!」
と言ってそそくさとスーパーに入った。
数分後スーパーを出ると又おばちゃんが
「ちょっとこっち来てよ」
と手招きしてくる。私は
「ハハッ、こんにちは」
と愛想笑いしてその場を去った。
数分後再び買い物しにスーパーに行くと又おばちゃんが
「ちょっとだけで良いから」
と又手招きしてくる。私は冗談交じりで
「あれ? あなたの事知ってる!」
と言うとおばちゃんもニターと笑い、しばし見つめ合った。
そして買い物を終えスーパーを出て、おばちゃんとまた絡むかなと視線を送ると
「……」
うんざりな表情をしてこちらを見て溜息をつかれた。
久々に蔑みの目で見られた。
ちょっと、いや相当自由なルーマニア人を羨ましいと感じたツアーでした。
川村 岳