13/10/03
『女優さんなんだから…』
先週、仕事場で質問された。
「嘘くさくない笑顔ってどうやって創るの?」
「女優さんなんだから簡単でしょ?」
どんな職業でも、もしくは日常生活の中でもそんな悩みは尽きないのかもしれない。どうやったら心から笑えるのか、どうやったら感情を相手に上手く伝えられるのか。
「女優さんなんだから簡単でしょ。」と言われてしまったが…どうだろう。女優だから簡単とも一概に言い難い気もするし…。嘘くさいか、くさくないかは人による気がするし、実際に嘘くさい俳優はいるから。その俳優は笑うと嘘くさいかのかもしれないし…どうだろう…ブツブツ。
しかし、私達俳優は成る程! そういった事を日々意識しているんだという事に改めて気づかされた。実はその道のプロでなくてはいけないのだ。勿論芝居は作られた世界、嘘の世界である。
しかし、そこで行われている感情が、やりとりが、身体が 、嘘くさかったら、誰が面白いと思うだろう。嘘でも本物のような嘘。時に本物を超える嘘に出会えるから価値があるのかもしれない。
俳優が笑う時、嬉しい時の身体の状態を思い出したりする。あたかも新鮮に、初めて笑うかのように笑う。私達もそんな事は初めから上手く出来るわけなく…。何度も稽古を積み重ねて繰り返し練習する。自分のスイッチはどこにあるか探るのだ。
「女優さんなんだから簡単でしょ?」
「んー。そうですね。」
と言いたいところだけど…どうだろう。そんな地道な探求によってなりたっているんだよ、とは知る由も無いのかも。
演劇で誇れるところ。そんな些細な行為にこだわりを持ち探求出来る事なのかな。
いわば人間観察。
「女優さんなんだから簡単でしょ?」
という投げかけから俳優とは何なんだ? っと思いを馳せる日常の1コマでした。
心から笑いたい方、どうぞ演劇の扉を叩いてみてください 笑。
植田麻里絵