13/03/20

ひかりごけ

「ひかりごけ」稽古場日誌/「観劇にかこつけて文学散歩」

いよいよ稽古も大詰めを迎え、連日通し稽古が行われています。
現在も通し中です。

私はといえば、舞台セットに使用する布と格闘中です。
一階のスタジオから時折、ものすごい叫び声が響きます。
あぁ、観たい観たい!
しかし、そうも言ってられません。
劇場入り直前ともなると舞台美術から衣裳から制作まで各部署まんべんなく、大わらわになっております。
ジャージがペンキだらけの演出助手くみこさん、目の下のクマが濃くなっている演出助手の助手、佐織。

ニコニコしながら「何からはじめていいやら? やることがいっぱい・・・」
とつぶやく衣裳の綾さん。
出演者の面々もかなり追い詰められた表情で稽古場を漂っていることが多く、日に日に痩せて顔色が悪くなってます。
話しかけにくいったらないです。
稽古場がどんどんマッカウス洞窟に飲み込まれていく・・・

そこで、くらーい稽古場を抜け出し、「ひかりごけ」文学散歩のご案内です。
”ひかりごけ”はその名の通り苔です。
北海道やロシアなど冷涼な土地に生えている大変希少な苔だそうです。
東京都内では、江戸城跡の北の丸公園で見ることができます。
江戸城築城の時、全国から運ばれてきた石に付着していたらしいですよ。
東京で見ることができるのは、極めて稀です!
もう一つ、「ひかりごけ」の作者、武田泰淳の奥様も作家なのをご存知でしょうか。
武田百合子さんと言い、代表作の『富士日記』は泰淳の死後、二人で過ごした日々を綴った日記を清書した名作です。
この二人が出会ったのが、神保町にある喫茶店「ランボオ」(現ミロンガ)です。
すずらん通りの裏にあります。
ここで百合子が働いていたときに泰淳は常連客だったのだそうです。
ロマンチックでございます。

あら、北の丸公園もミロンガも今回の劇場である文化学院のすぐ近くじゃありませんか!?
観劇ついでに文学散歩でもいかが。
でも、一番のおすすめの観劇方法は、よおくお腹をへらして観に来ることでしょうか。

安部みはる


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山の手事情社公演「ひかりごけ」
詳細は、こちらからどうぞ。
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13/03/19

ひかりごけ

「ひかりごけ」稽古場日誌/「本番直前」

初日一週間を切った。
毎回公演のたびにもう少し時間があればと思いながら本番に突入してしまう。
今回も焦る気持ちでいっぱいだ。

だが芝居はまだまだ変わる。

個人的には芝居に対していろいろな気づきがある時期がだいたい三回ある。
ああそうか、こうすればいいんだ! というのが。

ひとつは本番一週間前。
芝居の骨組が固まり、全体像や流れが見えたとき。
芝居の中での自分の立ち位置を確認するとき。

二つ目は劇場入りして、実際の装置や照明などを目の当たりにして舞台空間に浸ったとき。

最後はホントの本番中。
お客さんがいる中で急に面白いことを思いつくことがある。
緊張して頭がおかしくなっているのに、「あっ、こういうの有りかも」とちょっとしたアイデアが浮かんだりする。
そしてそれは意外に間違ってなかったりする。

要はまだまだチャンスはあるのだ。
耳を傾けていればいいのだ。
ただ、そういうチャンスをうまく拾えたとき、
場合によっては今まで作ってきたものを、あっさり捨て去ることが出来るかどうか・・。
それがなかなか難しい。

山本芳郎

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山の手事情社公演「ひかりごけ」
詳細は、こちらからどうぞ。
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13/03/19

ひかりごけ

「ひかりごけ」稽古場日誌/「《四畳半》パワー」

最近少し演劇の稽古から離れた生活を送っている。
毎日満員電車に揺られ仕事に行き、また満員電車に揺られ帰宅する。
肉体的にはきつくないのに、何かにエネルギーを吸い取られているようでなぜかとても疲れている。

そんな重くてだるい身体にムチ打ち、男優陣が頑張っている様子を見に久々に稽古場に行ってみた。
稽古場では相変わらず様々なきついポーズで格闘している男優達の姿。

山本さんなんて顔が土気色してる。
浦くんは目がさらにくぼんで、みんな大丈夫かしら!?

山の手事情社の芝居って大変だなぁ。
なんでこんな大変な様式選んじゃったのかしら・・・
なんてどこか他人事のように見ていた私。

ところが見ていると次第に身体がうずいてくることに気づいた。
俳優達がキツイポーズをする度に私の身体も共鳴し、皮膚の下の細胞が動き出してきている。
眠っていた身体の感覚が目覚めてきている感じ。

俳優達からえぐり出された声や感情が私の心に響いてくる。
俳優の熱と共に私の身体や心が熱くなってくる。

あらっ
なんか元気出てきた。

これぞ演劇の力。
《四畳半》パワーか!?

「ひかりごけ」重い作品で疲れそうだし、仕事の後に観に行くのはかったるいなぁと思っている方々。
元気になりますよ!
改めて劇場で体感していただきたいと思いました。

山口笑美

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山の手事情社公演「ひかりごけ」
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