13/03/18

ひかりごけ

「ひかりごけ」稽古場日誌/「いつもの風景」

稽古場に行くと、更衣室で川村さんと斉木さんがどんよりとした表情で佇んでいました。

く、暗い…!

いつもなら休憩中は軽妙なトークで劇団員とじゃれあっている川村さん。
「おはようございます…休憩中ですか…」
といつものように語尾が緩い感じであいさつすると、
「うるせえ、何しにきたんだ、あっち行け!」
みたいなことを言われました。
目がまったく笑っていません。
斉木さんが、
「そう、休憩中」
そっけなく小さい声で返してくれました。
いつもなら休憩中に豪快にパンをかじりながらパソコンをいじっている斉木さん。
この日もパンとパソコンを抱えていましたが、正座でちょこんと座ってうつむいたまま、いつもより小さく見えます。
浦さんが通り過ぎていきました。
いつも多忙な浦さんに「おはようございます」と挨拶するにはタイミングがとても重要です。
もうこの頃はよっぽど大事な用件でもない限り浦さんの視界に入る隙はありません。
今日も逃してしまいました。

「ひかりごけ」大変だよなー。
3大欲求が満たされない状況に追い込まれるなんて、俳優の仕事、とはいえ、嫌だよなー。
寒いうえに飢餓状態なんて、最悪だよ。

なんてグダグダ思いながら着替えていると、山本さんが入ってきました。
いつものようにマウントレーニアのカフェラテを飲みながら、用が済むと音もなく部屋を出ていきました。
視線はどこか遠くへ。
頭のなかで何か考えている。
そんな目つきをしていました。

自分が出演しないとちょっとひいた目で観察してしまって、不思議な空間だな、稽古場って。

俳優は非日常の世界に入り込んでいく仕事なんだ。

さあ間もなく「ひかりごけ」本番です!

越谷 真美

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山の手事情社公演「ひかりごけ」
詳細は、こちらからどうぞ。
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13/03/16

ひかりごけ

「ひかりごけ」稽古場日誌/安田雅弘インタビュー




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山の手事情社公演「ひかりごけ」
詳細は、こちらからどうぞ。
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13/03/15

ひかりごけ

「ひかりごけ」稽古場日誌/「飛び掛る恐怖」

本番を間近に控えた俳優の顔が好きです。

精神的にも肉体的にも限界に近いだろうに、観客の前に立つ瞬間を見据えて、役以上の何かにとり憑かれいる。
おそらく、致命傷を負ってもオロナイン位で完治しそうな、不思議な生命力をまとっている。
「ひかりごけ」の俳優4人の顔にも、その緊張感が帯びています。
「いい感じだ。いい感じに追い詰っている・・・!」
とワクワクすると同時に、俳優として、羨ましさと悔しさを感じる程です。

さて、話は変わりますが、大阪に住んでいた頃、とあるチェーンの立ち呑み屋に行った際の話です。
壁に貼られたお品書きを見て品定めしている時に、ふと違和感。
串焼きのメニューが並んでいる。
「牛肉」
「豚肉」
「鶏肉」
「にく」
・・・なんの、にく?
厭な印象を受ける。
一緒に呑んでいた友人が、
「これなぁ、ミナミで酔って寝てるおっさんの肉やでー」と冗談。
それを笑って過ごしましたが、その瞬間から私の中では人の肉。
事実、それが安いお肉の形成肉であっても、一度人の肉かも? と思うと、絶対食べられない。
思考以上に自分の生理が強烈に拒否した事を思い出します。
私にとっての「同族を食べる」という事に対しての感覚ですが、皆様にも、およそよく似た感覚はありませんでしょうか?

しかし「ひかりごけ」という作品は、こんな生理を逆撫でするだけには留まらず、容赦なく様々な事を投げかけてきます。
稽古中にも、それらは俳優の身体を通し、更に力を増してこちらに飛び掛ってくる。

本日見学のシーンは第二幕。
船長は他の船員の肉を食べて生きながらえますが、船長の魂は、この先ずっと孤独で寒い洞窟の中なのではないか。
想像しきれない恐怖が飛び掛ってきました。
うう・・・困ります。
一人暮らしの孤独に影響するじゃないですか。

きっと客席にも、強靭な俳優達の身体を通った何かが飛び掛ってきます。
受け止め方は人それぞれです。
ぜひ、皆様なりに受け止めてみて下さい。


辻川ちかよ

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山の手事情社公演「ひかりごけ」
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