12/11/28

社会人WS

社会人ワークショップ・第五弾「ダンスなんて簡単だ!」                                                         《ルパム》の作り方 その6

「こんな方にオススメ」

タイトルの「ダンスなんて簡単だ!」と聞いて、
自分には出来ないと尻込みされている方、
もしくは、演劇ではなさそうだから関係ないと思った、
あるいは、すでにダンスを習っているから
別なダンスはいいや、
と思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そんなことはございません。
既成の振り付けであれば、
上手くできる、できないの判断はありますが、
《ルパム》はそうではありません。
自分の体から振りを見つける。
この作業は、自分が思っているより、
新鮮でおもしろいものです。
その振りのこだわりを決めるのは、
ワークショップを進行する私たちではなく、自分です。
ワークショップでは、上手く踊れることが目的ではなく、
自分のこだわりを発見するお手伝いをする、
と言ったほうがよいかと思います。

自分のこだわりや、クセを発見していくことは、
演劇の中でとても大事な作業です。
自分の役が、芝居全体が、何を伝えたいのか。
ここをはずしてしまうと、演劇は面白くありません。
自分のことを知ることはとても大事な作業です。

日常生活でも、自分の体から発せられる非言語が、
コミュニケーションの中で
とても大事な役割を果たしています。
非言語は、体のことであると言っても
過言ではありません。

例えば、こんな方にもオススメです!

小さいお子様がいるお母様。
子供は新しいことに敏感です。
今までよりちょっとだけゆっくり話してみたり、
もしくはわざとストップモーションで動いてみる。
そんな些細なことですが、
何か新しい発見があるかもしれません。
お子さんとどう接していいか悩んでいる方、
試してみませんか。

会社勤めの方。
毎日座りっ放しでPCとにらめっこしていると、
体はどんどん固まっていきます。
そしてそれは思考にも影響していきます。
丸くなった背中をちょっと伸ばしてみたり、
あえてゆっくり瞬きをしてみると、体が少しスッキリして、
やる気が戻ったりすることはありませんか?
体の開放は気持ちいいものです。
「開放する」をテーマにして、色々な動きを考えてみる、
なんてことが体験できます。

お芝居を普段やっている社会人の方にも
もちろんオススメです。
演技が大げさだと言われたり、
自分のクセがつい出てしまう方、
いらっしゃいませんか?
舞台上の体の動かし方について
気づくことができるかもしれません。

色々な方に、おすすめしたいワークショップです。
ご応募、お待ちしております。


小笠原くみこ

12/11/26

社会人WS

社会人ワークショップ・第五弾「ダンスなんて簡単だ!」                                                         《ルパム》の作り方 その5

「《ルパム》紹介、その3」

『Fairy Tale』より



平田オリザさん作の戯曲を元にした作品です。
現代日本を舞台に、革命集団を描いた作品です。
翌日に実施を予定している計画の最終打合せを
しているマンションに、色々な人々がやってくる。
そこで巻き起こる人間模様と、集団という存在。
《ルパム》は、歩行だけで構成されたもの。
キビキビした動きには、戯曲のテーマである
革命とか、日本人の質のようなものを感じさせます。
芝居の冒頭、約20分間は俳優がマネキンのように
立ち尽くして、セリフだけが飛び交います。
そこに、突然《ルパム》が始まり、
それまでの凍りついたかのような世界が動き出します。


『jam ゴールドブレンド』より



2004年、劇団創立20周年を記念して
おこなわれた公演の1つです。
これは、普段の稽古を見せるという趣旨で、
《山の手メソッド》を用いた様々な稽古方法を、
実演しながら、紹介する公演です。
それまでの様々な公演で使用した《ルパム》を
組み合わせ、メドレーにした、
記念公演らしい、華やかなものになっています。


小笠原くみこ

12/11/19

社会人WS

社会人ワークショップ・第五弾「ダンスなんて簡単だ!」                                                         《ルパム》の作り方 その4

「《ルパム》紹介、その2」

『傾城反魂香』より その1



この物語には絵師が出てきます。
色恋の話、芸術と政治を取り巻く話が展開します。
そんな絵師たちの芸術に対する姿勢、芯の強さが、
体のニュアンスに取り入れられています。
この《ルパム》は、
芝居のオープニングに入っていることもあり、
これから展開する物語を予感させる印象もあります。


『傾城反魂香』より その2



この《ルパム》は、「熊野詣」と呼ばれています。
主人公みやが、死んでも行きたいと願った「熊野詣」。
その熊野の絵を、絵師・元信が描き、
みやの念願を叶えるというシーンです。
踊り手は、元信が描いている熊野の
様々な印象を担っています。
元信は、襖に熊野の絵を描いているのですが、
普通に考えると、二次元でしかない絵が、
みやにとっては熊野に行ったかのような心持ち。
そんなみやの心象を、《ルパム》として表現することで、
映像の効果もあって、グッと分かりやすくなっています。


『オイディプス王』より



この《ルパム》は、女性しか踊っていません。
物語のセリフのシーンと、
《ルパム》を組み合わせたシーンになっています。
物語の主人公は、オイディプス王という男性ですが、
山の手事情社版では、女性が演じるので、
女性性と物語を、どう対比させるのかが、
面白みの1つです。
そして、このシーンは、オイディプス自身が
自分の過去に疑惑を持ち始めるところでもあり、
話の筋より少し先行して、疑惑の根源である、
母と幼児を思わせる振りになっています。


小笠原くみこ

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