12/11/13

社会人WS

社会人ワークショップ・第五弾を開催します!

来月から社会人ワークショップ第五弾が始まります。
今回のワークショップは、
「ダンスなんて簡単だ!」と題し、
演劇的な視点から、ダンスに取り組もうと思います。
ここで改めて、このワークショップの目的と、今回の内容についてお伝えいたします。

山の手事情社では、
バレエ、日本舞踊などの身体の基礎教養をもたない現代日本人に適したダンスはないものだろうかという疑問から、独自に作られた稽古があり、それを《ルパム》と名づけました。
《ルパム》とは、リズム(R)、プレイ(P)、アクト(A)、ムーブ(M)の頭文字を組み合わせた造語です。

「《ルパム》の作り方」と題して数回連載します。
ワークショップに興味がある方も、
ない方も、是非ご一読ください!

12/10/29

トロイラスとクレシダ

そして格闘は永遠に続く

2012年 山の手事情社公演「トロイラスとクレシダ」
無事に終了致しました。

劇場に入って、ゲネプロ(本番同様の通し稽古)を終えた後の話。
舞台では照明の当たりを調整している模様。舞台美術と照明を担当している関口裕二さんの怒号がとび、異様な緊迫感に包まれる。

「かみ(上手)、ちょいかみ!」
「いきすぎた」
「違うって!、『ちょっと』っていうのは、1ミリのことだぞ。」

1ミリのズレにも神経を使うシビアな世界。
その舞台で、役者達は常に格闘しなくてはならないのだ。
照明、衣装、音楽、あらゆる空間、登場人物同士そして古代の英雄と自分との格闘、今日来ている観客の視線、本番ごとに変わる1ミリのズレを繊細に、時には大胆に捉え、その格闘に全神経を注ぐ。
その行為を続けることが、観客の心を動かすことができるのではないか。

そう信じて、役者たちは格闘してきたと思う。
決して、楽なことではない。
終演後、舞台を見てくれた友人達の暖かい声援が、何より心の支えとなったのはいうまでもない。
そして、また明日から、劇団は格闘を続ける。

お陰様で全ステージ満員のお客様にご来場頂きました。誠にありがとうございます。
次回は来年3月「ひかりごけ」ご期待下さい。

岩淵吉能

12/10/25

トロイラスとクレシダ

この世にいない人

現在放映している大河ドラマは、視聴率がふるわないらしい。
色々な要因があると思うのだが、
「平清盛」って人に、そもそも興味がないのもその一因だろうか。
歴史的にみたら、わりと重要ポイントにいる人だと思うのだが。

今回の『トロイラスとクレシダ』。
元々は、ギリシア神話の登場人物たちが多く、日本人にはなじみが薄い。
大半の人にとっては、この物語の登場人物には興味がないだろう。

大河ドラマの現象は、ひるがえって
私たちのやろうとしていることに、かえってくる。
興味がない物語を、どうしたらおもしろがってもらえるか、魅力的な人物に見せられるか。

≪四畳半≫は、
この世にない魂を見せるしかけ、と口をすっぱくして演出の安田は言う。
現代の日本に生きている私たちには想像もつかないような人物を、浮かびあがらせることができると信じて取り組んでいる。
そういう、ある種幻想のような気持ちがなくちゃ、ギリシア神話の人物を演じるなんてできっこない。

でも、そんな人物たちと現代の私たちが通じる部分というのはあるわけで。
そういう部分を探り当てていきつつ、私たちに寄せすぎない距離をはかっていく。

話は変わるが、マイケル・ジャクソンの死後に発売された曲がある。
その曲のPVはステキなのだけれど、マイケル本人が出演してないから、どうにも物足りない。
仮に≪四畳半≫で、マイケルを演じてくれても、
物足りなさはきっと解消しないだろう。
だって、見たいのは、マイケル本人だもの。
そういう欲求を解消してくれるのが、
≪四畳半≫ということではない。

≪四畳半≫は、
「この世にいない人」を見せるんじゃなくて、
「この世にない魂」を見せるってところがミソ。
その本人を登場させようとすることではなくて、
その人の生き様とか、内面とか、考え方とか、
そういうものをひっくるめた「魂」を見せるってことだ。
そういう意味では、平清盛でも、マイケルでも、
「魂」を見せることはできるはず。

初日の幕があきました。
トロイラスも、クレシダも、
アキリーズも、ユリシーズも、
ヘレンも、ヘクターも、舞台にいます。
ぜひ、その目で「魂」を見てやってください。


小笠原くみこ

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