12/10/18

トロイラスとクレシダ

夜中のテンション

毎日稽古が続いている。
誰も見たことがないような舞台を創るため、
朝から晩まで汗水垂らし、しかも大真面目にくだらないことを考える。
先日の、女性だけが出てくるイメージシーンの創作テーマは 「男の挫折をあざ笑う」だった。
すると、テーマのせいか、メンバーのせいかは不明だが、携帯を耳に当てながら喘ぎ声を出してみたり、エクソシストの格好で抱いてと叫んだり、皆がどんどん悪乗りしだした。
そもそも、「男がその姿をみて、うげえ?! となって欲しい」
「男の理想像をぶっ壊したいよね!」
という狙いだから、仕方がない。
しまいには、やる気のないセックスに仕方なく付き合っている時ってどういう感情になるだろうかと、あーでもない、こーでもないと検証しだす。
気付けば23時を過ぎている。ひとまず帰宅し、翌日昼間からその続きを検証する。

夜ならまだしも、昼になってもその妄想は衰えない。
明らかに、異様な空間である。
冷静になれば、いい年のレディーが何をやっとるんじゃい、となる。
し、しかし、なりふりは構っていられない!
俳優は、まず自分がその世界に浸らなければ、第三者に伝えることは出来ない。
そのためにはありとあらゆる感覚を研ぎ澄まし、状況や状態を身体に落とし込むことが求められる。
俳優自身が柔軟に何でも面白いと思って飛び込まないとその瞬間をのがしてしまう。
たとえそれが、やる気がないのに仕方なく求められてやるセッ…
であってもだ! (キリッ!)
残念なことに、これらのネタを発表したとき、男優陣が別の稽古でいなかった。ウゲェと言わせたかった。

本番には採用されないだろうなあ、ひねりがなさすぎる。
ちょっと夜中のテンションすぎたかしらん?!


三井穂高

12/10/15

トロイラスとクレシダ

一番楽しくて一番苦しい時期

ルーマニアの俳優たちが舞台上で《四畳半》で動いているところを見て、これは面白い手法なのだと改めて思った。

それは、まるで子供向けの絵本のような絵面に、複雑かつ過剰な大人の内面が詰まっている。それは美しく、シンプルなのに複雑で、見るものの想像力を刺激する。(もちろん、これは内実が伴わない場合すぐに子供だましの幼稚なものに変貌してしまう危険と隣り合わせであるのだが!)
この様式で何年もやっているのに今頃このことに気づくというのも皮肉な話であるが、ルーマニアの俳優がやることによって《四畳半》というものを客観的に見ることが出来たのだろう。

さて、翻って、ただいま鋭意創作中の元祖《四畳半》である。劇中の人物は簡単には私を近づけてはくれない。考える。頭で、身体で。久しぶりの《四畳半》は私の筋肉に能力不足を伝えてくる。思考が停止しかける。ああ、ルーマニアの俳優に投げかけていた言葉がすべて自分に跳ね返ってくる。

マイ ジョス!(もっと重心を下げて)
マイ クシムチ!(もっと丁寧に)
マイ ターレ!(もっと強く)

私達は総力を挙げて大人向けの優れた、そしてシズル感に溢れる絵本を作らねばならない。
とにかくより良いものに向けて仮定と実験を繰り返すのみである。それは、きっと公演が始まっても繰り返されるだろう。だが、ああ、足腰が・・・痛い・・・。


倉品淳子

12/10/13

トロイラスとクレシダ

とりあえずやってみよう

今回の「トロイラスとクレシダ」の中で、トロイ軍の武将たちが戦場から凱旋してくるシーンがあります。
先日の稽古でこの凱旋シーンをどう表現するか、これを役者たちで話し合いました。

ふつうこういうのは演出家がああしてこうしてと決めていくものですが、山の手事情社ではほとんど役者が考えていきます。

「こういうのはどうだ」と誰かが提案し、「じゃあやってみよう」とみんなで体を動かす。これを繰り返しながらシーンを作っていきます。
ひとつ出来ると、「じゃあこれはどうだ」と、どんどんアイデアが膨らんでいく。
こうなると稽古が盛り上がる。結局このとき出来上がったのが、小1時間ほどで10数パターン!

いいものもあれば、「これは絶対に使えないでしょ」というのもあります。しかし提案が出た時点で「くだらない!」とみんなが思っても「とりあえずやってみよう」と実際に体を動かすことでわかってくることがあるのです。「あーやっぱりダメだね」とか「意外といいんじゃない」とか。

とにかく話し合いであーだこーだするより、「よしじゃあやってみよう」と実際に行動したほうがすんなりいくもんです。

まあでもこれ小1時間が限度で、3時間、4時間やるとさすがにどうでもよくなってくる。

「トロイラスとクレシダ」の舞台であるトロイ戦争はいわばこれの拡大版じゃないのか。
別に小難しい話ではない。敵軍に勝つための作戦を練る。練ってやってみては失敗し、を繰り返して7年。そりゃだらける。もはやわざと失敗するような作戦を立ててるんじゃないかとも思えてくる。

しかし戦況を左右するのは、頭を使って練りに練った作戦ではなく、色恋沙汰。ここがいかにも人間ぽくて面白いところ。

ま、そういう話です。
さて、凱旋シーンがどうなったか、それは本番で!


谷洋介

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