12/10/10

トロイラスとクレシダ

ヘレンのこと

ハリウッドスターといわれるような美男美女たちの私生活なんて遠い世界に感じるけど、ヘレンという女性の素性はそれ以上に遠く、謎に包まれている。

ヘレンは『トロイラスとクレシダ』の登場人物のひとりで、トロイ戦争の原因にもなった絶世の美女。
もともとはギリシアの将軍メネラオスの奥さんだったのに、パリスと恋に落ちてトロイにきちゃったもんだから大変なことになってしまった。

いやしかし、戦争の原因になっちゃうなんて、
どんな女性なのでしょうか…!

シェイクスピアの原作には書かれていないけど、ギリシア神話の世界では、父親は全能の神ゼウスらしい。
つまりヘレンは半分神様だそうな。
あまりに求婚者が多かったので話し合いで結婚相手が決まり、万が一ヘレンが誰かに奪われるようなことがあったら、ギリシア中が一致団結して取り返しにいくという約束があったらしい。
さらに戦争の後(パリスは戦死)はメネラオスの元に戻って平和に暮らしたそうな。

えー!
ここまでやらかして元鞘ですか…!!

さすがに周囲の評判は悪い。
トロイ人からは稀代の悪女よばわり。
仲間であるはずのギリシア人にまで「腐れ肉」扱いされている一方で、ヘレン自身の台詞は少ないし、ほとんど自己主張がないのでいまいち内面というか、キャラクターが見えてこない人物、ヘレン。

何か月か前にあった事件をふと思い出した。
ある男が同じマンションに住む小学生の女の子を自分の部屋に連れ込み、その気まずさから同居する父親を殺してしまったらしい。
男に何が…すごく複雑な背景があるのだろうけれど、その女の子がどんな子だったのかすごく気になる。

男性の衝動を駆りたてる女性ってどんな人なんだろう?
日々何を考えて過ごしているのだろうか。

んーヘレン。
絶世の美女の実態とは?

映画に出てくるヘレンはたいてい美人でセクシーな女優さんが演じている。
しかしうちにはマリリン・モンローもグレース・ケリーもいない…。

今回どうなる?

ほんとにヘレンは出てくるのでしょうか…!

お楽しみに。

越谷真美

12/10/10

トロイラスとクレシダ

熱い、暑い、秋

今年、入団して10年目になるんです。
ひょんなことから演劇に関わりはじめて、東京に出てくるまで、演劇を見ることなんてほとんどなくて、見始めたときは何を感じて良いのか、はっきり言って分かりませんでしたよ。
長時間座って観る習慣なんてないし、古典作品あらすじ分かんないし、俳優さんってたくさんのセリフ覚えてすごいよね、ってちっぽけな感想でした。
でも、だんだん観に行くうち、お金払って観ているのにそんな感想?! 自分が悲しくなってきましてね、何見せたいのか知らないけど、自分なりに面白さを感じ取ろうって思いはじめたんです。

古典作品の役って、かなりエネルギッシュな人たちが多いんですよね。
それを舞台上で表現しようと戦う俳優に私はうっとりするようです。
まぁ、私は熱く、勢いのあるものに興奮する質なんです。
なのでスポーツ、特に野球が大好きなんですけどね、赤いチームが。
どんな状況が訪れようとも、外見気にせず必死でくらいついて行く姿がフェチポイントなんですよね。
ただ、演劇はその勇姿と作品の解釈も一体にならないと、見てもらえるものにならないという、何とも困難な仕掛けがあるんです。

本番まであと数週間。どうする?!
お客様は仕掛けなんて見たくないし、言い訳なんて通らない。
トロイ戦争に負けないくらいの長さで、山の手事情社の稽古場は戦場と化しています。
山の手事情社戦争の幕引きはまだまだ先ですが、まずは『トロイラスとクレシダ』の仕掛けをどう解いたかは、ご自身の目でお楽しみください。

お待ちしています。


福冨はつみ

12/10/08

トロイラスとクレシダ

おんな

ここ数日、女性たちのショート・シーンのネタだしやら、シーン作り、他でも、女だけでギリシャ兵やトロイ兵というものを表現するために歩行を考えたりと、女だけの中で、「女」や「集団」について考える日々が続いております。

女だけの中って聞くと、人によっては、ねちっこいイメージをお持ちかもしれませんが、しかし、そこは山の手事情社の女優達です。
クリエイティブな現場では、シーンで男達をあざけり笑うがために、真剣に下ネタが行き交いされています。
ただ、ただ純粋に、あーでもないこーでもないと、真剣に下ネタに理論づけしていきます。
感性というのは「感情」と「理性」でできているんでしょうか? 討論は絶えません。

まぁ、それを含め、私は改めて「女」って、変だなぁーと思います。

何故改めてかというと、実は中学、高校と女子校に通い、さらに大学も八割が女性の学科に入って、女の中での生活を10年間したという経験があるのです。
しかも、全然、うんざりした事がないんです。

それでも、今まで感じていた女の集団が、「あ、本当に一部分だったんだなぁ」と、今回のシーン作りを通して感じて、「もっと見ときゃーよかったなぁ・・・」と、反省するくらい、改める感覚がありました。
それは、女が社会(集団)に生きていくって、どこかの回路が麻痺していってしまうんだなと、感じたからです。
元から、人間って生き物は不確かで不安定な生き物なのだと思いますが、そこに、
恋愛、性(SEX)、母性、女性性、本能、理性、ホルモン、嫉妬、見栄、感情、喜怒哀楽・・・etc.
様々な要素が、女性を適応へと変容させていっていると、個人的に感じました。

しかも、今回の作品にいたっては戦争中。
フェミニズムでもウーマンリブを必ずしも取り扱った作品ではありませんが、通常の生活とは違うわけです。
どこかのん気で、どこか狂気が含まれ、アンバランスの拮抗を保つ女。
そんな中、ギリシャとトロイの男達、そして、「トロイラスとクレシダ」という作品で、どう生かされて行くのか・・・?

こうご期待です!
池袋でお待ちしております。

中川佐織

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