06/10/03
「名人たちと名凡人?」
ども、山田宏平です。
今日は「ファウスト」をノンストップで通しました。
初日まで2ヶ月近くあるのですが、満を持しての新作ということもあり、
いつにないハイペースでつくっております。
通してみて、この作品の持つ強靭な骨格がはっきりしてきました。
壮大な戯曲をシンプルに削ぎ落とし、
強烈な恋愛にスポットをあてた山の手版ファウスト。
メフィスト・マルガレーテとの対峙を通してみえるファウストの希望や絶望から、
例えるなら一輪挿しのようなシンプルで想像力に訴える美しさ、
あるいは力強く伸びた初夏のひまわり畑のような鮮やかな刹那の切なさを味わっていただけると思います
(ご期待を!)。
骨格がわかると枝葉の部分も見えてきますね。
通しのあと演出家から僕に出た言葉は「もっと軽くしてほしい」。
倉品さんや岩淵くんからもらったアドバイスも「もっと軽く」。
僕が返した言葉は「緊張感のある暗闇の部屋にずかずか入ってきて蛍光灯をつけちゃうような感じですよね」。
一同「そう、そう」。
はい、そうです。
僕の登場シーンの役割はがっかりとか拍子抜けとか力が抜けるとか、そんなあたりです。
名人たちの緊張感を台無しにしてしまう凡人ってとこですね。
こういう役割、大好きです。意気に感じます。
ただ凡庸にやるのではなく、作品を豊かにさせるような鮮やかな凡庸さ。
ただの凡人ではなく、「名凡人」であるように。
そういえば銀河鉄道でもタイタスでも凡庸さや俗っぽさは意識してたっけなあ。
高みを求める作品に彩りを加えるため、
いかに高級でない人物に、高度でないやりとりにしていくかという作業。
青い鳥ではポジションが違うので、ファウストで徹底して追求してみたいと思います。
ご期待を!
山田宏平