06/08/15

YAMANOTE TRIP

『ヴィトルド・ゴンブロヴィチ』って知ってます?

今回、ポーランド人の演出家チェシェラック氏と共同製作する「王女イヴォナ」の作者です。

劇団で研究発表と称して、上演する作品の歴史、背景、作家の生涯などなど。もろもろ。調べて調べぬいて劇団員の前で調べた成果を発表するのですが。読みましたよ。ゴンブロヴィチ作品。
誤解を怖れずに言うなら、ブコウスキーに似ているか。
パンクな感じが同じです。
「トランス=アトランティック」という作品の帯に暴力温泉芸者の中原昌也、激賞の文があったのですが、なんだかそれもまたニヤリです。
過去は破産し、現在は闇、未来はおしつぶされて破滅、過去は機能不全で、新しく訪れるものはみな暴力。
解決も救いも成長もないぜ。そんなぬるい地獄が好きなあなた、こっちにおいで。

今、森下スタジオで稽古をしていますが、ここが「王女イヴォナ」の会場です。
広いっていいなあ。
自主稽古がいくらでもできます。
コートが何面もとれるようなスポーツ強豪校。野球部とサッカー部と陸上部が同時に練習できるような広さがここにはあります。

広い空間に身をひたすのもまたいいもんです。
砂漠の民が見渡す限り砂しかないところにピラミッドを作った感覚が何だか少しだけわかるような気がします。

斉木和洋

06/08/13

YAMANOTE TRIP

「稽古始めは」

やっぱりウォーミングアップにはテニス。
そして稽古して休憩して稽古再開前にも、やっぱりテニス。
しかも軟式。
元バトミントン部の鴫島君と元山岳部の岩淵さんがテニスをして、鴫島君と元卓球部の美智子さんがテニスをして、その後鴫島君は名久井君と淳子さんともテニスをやっていました。

稽古前にテニスをするくらいですから、山の手メンバーはスポーツ好きが多いです。そして負けず嫌いが多いです。
「ゲームなんだからさあ、楽しくやろうよ」と行った雰囲気から徐々に本気モードになっていきます。
ウォーミングアップでやる恒例の鬼ごっこは何百回やっても、やっぱりいつも真剣です。
「芝居なんだからさあ」「稽古なんだからさあ」というのを言い逃れにしないことと同じなんですかねえ。

そして稽古では、今日も呆れるようなお馬鹿なアイディアが次々と真剣に試されています。

芝居作りは、端から見るとその情熱が何処からくるのかまったく理解しがたいものだと思います。話し合いだって論理的じゃないですし、感覚で言ってることが多いので、良く分からない例え話とか擬音とか多いですからねえ。

でも日常では理解しがたいこのエネルギーと、効率を最重要視しないことが、面白い芝居作りには必要なんですよねえ。

これからも何百ものアイディアが試されることでしょう。そして、その中の選りすぐりのものを皆様にご覧いただきたいと思います。
是非ご期待ください!!

野々下 孝

06/08/12

YAMANOTE TRIP

「長期TRIP」

稽古は進んでいる。

僕は森下スタジオの空間を見ていた。

「考えが何も浮かばない」、が8時間を越えたあたりで頭がフリーズする。さらに何も出てこない。

言い方が、かなり間違っている気がするが、
「長期TRIP」状態に。

そんな時は稽古後気分転換に外に出る。

都庁に行ってみる。

品川プリンスの前は夏祭りだった。

アップルストアには人がぎっしりで入れなかった。
表参道ヒルズでは地下3Fを旋回した。
昔、能の台本「船弁慶」という芝居をした時は、ある飲食店「船弁慶」に行ってみた。単に名前が同じ、という理由で。

焼き鳥はとてもおいしかった。
が、そこには能のヒントはもちろんなかった。
店員さんは普通だった。
能面はつけていなかった。すり足で注文は取りに来なかったし、「いらっしゃいませ」の声は上音中音下音に分離していなかった。

当たり前だ。

次は秋葉原。

東京観光しているわけではない。

降ってきたり。
突然閃いたりしない。
そのうちその日が来るだろうか。

外は暑かった。
ここ数年、僕は何も考えていない気がするのだ。
鴫島隆文