06/11/06

YAMANOTE TRIP

「演劇の亀様」

倉品淳子です。
私は動物園に行くと必ず亀の前で立ち止まり、やたらと長い時間を過ごしてしまいます。私の目には亀はなにか馬鹿デカい苦悩と葛藤を抱えてじっと中空を見すえているように見えます。
命の存在の不可思議さを模索しているのか? はたまた、檻の中にいる自分の運命を呪っているのか? 時間を忘れて見入ってしまいます。
当の亀様はきっとなんにも考えちゃいないんでしょう、その証拠にのびのびとうすらとぼけてほくそえんでいる亀を見たことがありません。
もし、亀が涙ながらに手をじたばたさせて「出してくれー!」と叫んでいたらどうでしょう? 初めは面白いけど、そんなに長居はしないと思います。

演劇にはきっとこういう観客に想像力を喚起する隙間が必要なのだと思います。でも、お手本の亀様がやっているように、どこか途中まではやんないと、なにがなんだかわからない。必要最低限。
…って一体どこ? なんてことを考えながら今日も稽古にはげんでおります。
「青い鳥」も「ファウスト」もお客様の想像力をぶわっと広げる作品にしたいなあ。なんて考えています。楽しみにしていて下さいね!

06/11/05

YAMANOTE TRIP

「大人の会話」

本番まで約二週間です。
迷走しながらもちょっとずつ前へ進んでます。
四畳半の動きを作っているとき、大体こんな会話がなされてます。

「こうさあ、もっとさあ、なんか・・ふぁんって感じじゃない?」
「そこで、ギュウーと落ちるんだよ」
「バサッとじゃあなくて、こう、パサッとだよ」
「スーッとね、スーッと、煙が立ち上がるように」
「水に石が沈むときの、ドゥンて感じ」
「こっちだけこんな風に、ストン! っていうのどう?」
「ビシッと だよ、もっともっとビシ! ビシー!! 何が起きてもビシ!」
「今のはグワーンじゃん、さっきのはグーワーン、もっとさあ、ギュワーンっと」
「時間がピーンとなるような・・なんか周りの風景がバーッと、ほら映像とかでよくあるさ、バーッ!!」
「こうなると見せかけて、こっちにボン」
「こう、・・・・・・・・ばっ、こんな風に、・・・・・・ばっ」
「これどう? ザーーーーッ」
「こっちからギュッじゃあなくて、こっちから一気にキュルキュルキュル」
「いっしょにズズズズズ」
「こっちはまんまで、足だけフニャリと、いや今のはカックンだよ」

ほとんど高度な日本語での会話は無し。体を動かしながらやりとりしてるんでこんな会話になるんですが、文字だけで読むと何が行われているのか全くわからないです。
でもホントはものすごい情報量のやり取りをしてるはずです。一応それなりに肉体のコミュニケーションと言えるのかもしれません。
芝居のコンセプトや演技プランなどについてどれだけ抽象的な言葉が交わされたとしても、結局役者のからだを動かすのは言葉じゃなくて、感覚。そして音とヴィジュアルを通じての理解。このアホっぽい会話を自信をもって楽しもうと思います。
お客さんとは会話は出来ません。作り手の論理は大事だけれど、それがホントに実現出来てるのか?さらにさらにそれが観客に伝わってるのか?決して独りよがりの表現にならないで、お客さんの感覚にダイレクトに訴えるものになっていくことを祈ります。

山本芳郎

06/11/03

YAMANOTE TRIP

「水面下にて」

最近まで、香川県の市民劇に衣装縫い子として派遣されていた小笠原くみこです。

東京に戻り、YAMANOTE TRIPの現場に復帰です。
というものの、実際稽古している空間へはほとんど姿を見せず、
稽古場外にあるロビーで、一人黙々とパソコンに向かっております。
きっと、「何をしているんだ、あの人は?」
と思っている劇団員もいることでしょう。(いないことを願います)

私は、もろもろの調べ物、メールでのやり取りが多いのです。
これから、ドバーっとやってくる美術や小道具や衣裳の小物やら、
買い物のための下準備なのです。
使用するものが決まっているなら、買えばいいじゃん。
そうは問屋がおろしません。決まるまでが長いのです。
例えば、Xという小道具が欲しい場合、
それだけを考えればすんなり決まりますが、
舞台美術、役者が使う意図、衣裳との色の組み合わせ、大きさ、値段…
様々な点を考慮しながら一番ベストなものを選ばなくてはいけません。

上記の場合はまだいいパターンです。
Xという具体的なものが決まっていなく、
白くて、ツルッとした素材で、かわいすぎず、こわすぎず、なんか長い棒状で、
こんな感じで使うのっ!!
なんていわれたときには、どんなものですか?! と探り当てるところから始まります。

というわけで、縫い子として力を発揮したいところですが、
なかなか縫えない状況なのでした。

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