07/09/16
エア宏平>山田宏平?
ども、山田宏平です。
演劇の凄さ・魅力のひとつに「無いものが見える瞬間がある」というのがあります。
舞台上の俳優がきちんとその世界を捉えて存在すれば、神も悪魔も、この世の始まりでも終わりでも舞台でお目にかかれます。
どう見ても立派な大人の女優が少女に見える瞬間がある、なんていうのも演劇ならではのマジックです。
現在進行中の「道成寺」と「傾城反魂香」の稽古では「エア山田宏平」がそこかしこに存在します。
舞台上に僕だけいない、という稽古が行われているのです。
僕がある事情で立ち稽古に参加せず客席からセリフだけ出しているためなのですが、複数の俳優が宙を舞う蠅を追うかのごとく、その場に声だけいる「若僧」やら「又平」やらを捉えようとする姿は、なかなかに奇妙です。
最初のうちはどこにも存在しなかったり、逆に何ヶ所かにいたりしていたのですが、稽古を重ねてくうちにひとつになり、最近ではたまに自分の想像を超えた見
事な動きをしたりするようになりました。
共演者たちが作りだす「エア宏平」はなかなかに魅力的で、ああこうすればいいのかなどと多くのヒントを貰ったりしています。
みんなと舞台で合流するときは、山田宏平+エア宏平のタッグで、いつもより魅力的な演技が出来るような気がします。
でも「これならエア宏平の方がいいね」なんて言われたらどうしよう…!