07/09/16

YAMANOTE NIPPON

エア宏平>山田宏平?

ども、山田宏平です。

演劇の凄さ・魅力のひとつに「無いものが見える瞬間がある」というのがあります。
舞台上の俳優がきちんとその世界を捉えて存在すれば、神も悪魔も、この世の始まりでも終わりでも舞台でお目にかかれます。
どう見ても立派な大人の女優が少女に見える瞬間がある、なんていうのも演劇ならではのマジックです。

現在進行中の「道成寺」と「傾城反魂香」の稽古では「エア山田宏平」がそこかしこに存在します。
舞台上に僕だけいない、という稽古が行われているのです。
僕がある事情で立ち稽古に参加せず客席からセリフだけ出しているためなのですが、複数の俳優が宙を舞う蠅を追うかのごとく、その場に声だけいる「若僧」やら「又平」やらを捉えようとする姿は、なかなかに奇妙です。

最初のうちはどこにも存在しなかったり、逆に何ヶ所かにいたりしていたのですが、稽古を重ねてくうちにひとつになり、最近ではたまに自分の想像を超えた見
事な動きをしたりするようになりました。
共演者たちが作りだす「エア宏平」はなかなかに魅力的で、ああこうすればいいのかなどと多くのヒントを貰ったりしています。

みんなと舞台で合流するときは、山田宏平+エア宏平のタッグで、いつもより魅力的な演技が出来るような気がします。

でも「これならエア宏平の方がいいね」なんて言われたらどうしよう…!

07/09/16

YAMANOTE NIPPON

4人の清姫

今月は13日の金曜日じゃん!
と思っていたら、13日の木曜日でした。
うっかりものの水寄です、こんにちわ。

さて、道成寺稽古は思い出しつつ稽古が進んでおり
ます。配役はほとんど初演と変わりありませんが、
それぞれの状況はこの3年の間に変化しました。
出産したり、太ったり、人が辞めたり入ったり。

演出家曰く「初演のレベルを超えたいんだよね。」

全くその通りでございます。
新しい発見ができなければ、再演なんてやる意味は
ございません。そうですねー? そうですよー!
ということで、声と体の関係を更に進化させつつ、
3年の間にあっという間に衰えてしまった老体にむち
を打ちつつ、稽古は前向きに進んでおります。

ちなみに、今回、私は特殊キャラクターを演じます。
名前は“キャスリーヌ”と言います。
キャサリーヌ、カタリーナ、ジョセフィーヌ、
どれも違います。“キャスリーヌ”です。
よく間違われます。
今回の道成寺は、日高川入相花王、今昔物語、清姫
と3つのお話があって、3人の清姫が登場します。
この、キャスリーヌは、第4の清姫である。
と私は考えております。
勝手にですけど。勝手にね。

紅葉の時期、赤坂には桜が降ります。
4人の清姫とその仲間たちがお待ち申し上げます。

水寄真弓



07/09/12

YAMANOTE NIPPON

少女仮面

今日から「道成寺」始動です。
一年前に“出産”という大事業を成し遂げた太田真理子が帰ってきました。
この母親が少女・清姫をやるのだから、演劇っておもしろいな〜と思う。

若い女の子の役をフレッシュな新人女優さんが演じるのはもちろんよいのだけれど、「どう考えても無理だよ」という俳優さんがヒロインを演じるのもまた、私にはおもしろい。

ギャップは大きいほうがいい。ふつう美少女がやるといわれている役を、コロコロとふくよかな女性がやるとか、ヨボヨボのおじいさんがやるとか。
最初のグロテスクな印象が、芝居が進むにつれて「あれ?こんなにへんてこなのに、かわいらしく思えてくる…。」という具合になってくる。

プレ「合邦」を作る際に参考ビデオでみた、歌舞伎の梅幸さんの玉手御前なんか、初めはなんだかごつごつ感じるのだけど、しまいにはかわいらしくていじらしくて、思いっきり感情移入してしまった。

男たちに持ち上げられる淳子清姫も「重いよ!」と文句を言われているが、これが舞台で見ると泣けるから不思議だ。やっている方は「成立するのか?」とギリギリのせめぎあいなのだけれど。

日本人はむかしから、そういう方面での想像力が長けているのではないかと思う。
歌舞伎のおやましかり。能面しかり。今回のチラシも能面がモチーフだが、「夜ポストにあのDMがささってて、怖かった」と何度言われたことか。でもいい舞台ではゾッとするほど美しく見える。これって作り手と観客が協同で起こす、ちいさな奇跡だよな〜と思う。

そんなお客様の感受性の豊かさ・深さに期待しつつ、今日も稽古いたします。あ、真理子さんも淳子さんも、美人さんですのであしからず(汗)。


大久保美智子

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