07/09/10
速度
稽古場へ向かう途中丸子橋を渡ったら、台風の影響で多摩川は大増水。
普段は学生や子供達がアメフトやサッカーの練習をしている河川敷のグランドは増水に呑み込まれて姿を消し、濁流がドクドクと流れている。
普段は「これぞ平和!」の象徴のような穏やかな景観が一夜にして不穏な姿に。
その無言の迫力に、いかに地球上最強最狂暴のヒトといえども、自然の猛威の前にはただ戸惑うしかないんだなぁと改めて感じ入る。
そういえば河川敷に列を成して仮住まいをしていたホームレスの人達はどうしたのだろう。
うーんなんだか浮かない気分に。
そんな感じで稽古場へ到着。
山の手メンバーはいつでも目の前の稽古・作業に全力投入。
台風が来ようが安部政権の支持率が再下降しようが、今自分がやれることに神経を集中しているように見える。そしてなんだか皆元気。
良くも悪くも、ブレが無い。
稽古場に着いたらその熱気がアッという間に自分にも伝染し、さっきまでの浮かない気分は吹っ飛んだ。
さぁて稽古稽古。
楽しいなぁ。
今日の稽古で改めて驚いたこと。
手前味噌ながら、メンバーの対応力と提案力。
とりあえず俳優達で自主的に創っておいた、とあるシーンを演出家に見せたところ、
どうも演出家の狙っている感じ・コンセプトと相当かけ離れていたらしく、どうしたもんかなぁという空気が演出・俳優双方に流れ、場が停滞したところで一旦食事休憩に。
これぁこのシーンは長くかかりそうだなぁと覚悟しながら、飯を食いつつメンバーと再検討。
最初は皆ただ唸るばかりだったが、ちょっとした提案をきっかけにアッという間に提案の連鎖が始まり、新コンセプトを共有して即、立ち稽古に。
休憩終了→稽古再開までに残すところ約7分。
立ち稽古に入ってもそれぞれの提案は止まらない。
有り・無しをちゃっちゃと判断して3/2まで創ったところでタイムアウト。「後は即興で」と申し合わせて稽古再開。
たった7分弱で根本から作り変えたシーンは、なかなかの手応え。演出家からの的確な演出も加わり、30分前には想像すら出来なかった質感のシーンが、まがりな
りにも立ち上がってきた。
叩き台としては、まぁ有りな感じ。
感心したのはその速度だ。
対応・提案の共有。具現化の早さ、柔軟さ。
これは長く感覚を共有し合うカンパニーであればこそ出来ることのひとつで、久しぶりに参加する自分は改めてそこんところの凄さを実感した。
10月末の『傾城反魂香』本番の仕上がりやいかに。
楽しみ楽しみ。
ちなみに本日稽古で着替えたTシャツ4枚。汗かき過ぎだって!!
三村 聡