07/07/12

YAMANOTE NIPPON

抱擁

とあるシーンの稽古風景。

舞台では男と女が抱擁しています。
あるいは、男同士、女同士、抱き合っています。

いろんな愛のかたち
いろんな憎しみのかたち
そしていろんな死のかたち

わずか、5分もないシーンを延々と繰り返します。

・・・・・。

いやー汗だくですわ。この時期の稽古は。
なんてったって某先輩女優のお弁当が腐っちゃうくらいですから。
稽古場の床には劇団員の汗が確実に染み込んでいきます。
水たまりと化した自分の汗を素早くタオルで拭く様は、
まさにバレーボール選手のごとくなりです。

某先輩女優の言葉、
「男の人って、いろんなにおいがするんだね。うふふふっ。」
はい…。そりゃそうだと思うんですが…。
僕の…においはどうでしたか?

岩淵吉能


07/07/10

YAMANOTE NIPPON

「げほっ、げぼっ、んぐっぐ、あー、ぎゅあ、びっしいー、びっしいー、んぐっ、んぐっ、ぴちゃ、ぴちゃ、ごきゅ、ごきゅ、あーー、あっははあ、げほっ、ごぼっ。」

という『摂州合邦辻』稽古のひとこま。
出番を終えた川村さんはまるでぼろ雑巾のようでした。

見ていて思い出したのは、ヤングマガジンで連載中の『彼岸島』。
大雑把に吸血鬼と人間のバトル漫画ですが、咬まれた西山君によると

「まず体が痺れて動けなくなる。涙、鼻水、よだれ、そして小便。体中の体液が勝手に放出され止められない。視界もぼやけてきて、周りの声もよく聞こえない。
急にその場に一人ぼっちにされるんだ。
何度も呼吸が止まりかける。死にたくなければ必死で空気を吸い込むしかない」

だそうです。漫画内擬音は「プシュー」です。

猛毒の劇場体験。今から本番が楽しみです。

斉木和洋

07/07/09

YAMANOTE NIPPON

歳の差演劇

今日はめちゃくちゃ楽しみなことが一個あります。
まあ24時間で一個かと...少し暗くなりますが。

その楽しみとは、今日から稽古に田口美佐子さんが参加するってことです。ご存じない方に説明すると、田口さんは2006年に韓国、東京で上演された、倉品淳子と60歳を超えた3人の女優によるお芝居「ひかりごけ」に参加して戦時下、飢餓状況での食人事件を描いた武田泰淳の原作を、女性だけで演じるという離れ業をやった女優さんのお一人です。

そんな田口さんとの初稽古は、まず田口さんが母親役、それに劇団員が子供役で様々な言葉を投げかけます。

「お母さんなんで私の部屋片付けたの?」
「あんまり汚いからでしょ、掃除くらい覚えなさい」
「お母さん、俺なんでもてないんだろ」
「お父さんの顔を見れば分かるでしょ」

...いやあ〜テンポよく斬りまくります!まさに一刀両断!

次は恋人。次々に入ってくる30代の山の手男優陣と恋人を演じます。
歳の差カップルっていってもなあ...いくつ離れてんだよこのカップル。

「(酒を)注いでくれよ〜〜、美佐子〜〜注いで・..」「今日は一日何してたの?ねえ、仕事、いつになったら探してくれるの?」

うん?恋人ってそんな感じ?なんかすごくグレーで重い世界だけど?

「たぐっちゃん、たぐっちゃん一緒にお風呂は入ろうよ、お風呂〜」「いや、恥ずかしい」「いいじゃん入ろうよ〜」「もー知らない、知らない」

...すごいな...見ちゃおれんけど...見逃すのが惜しい!!!

最後は友達の家で飲み会に参加。劇団員の演じる28歳の友人たちが田口さん演じる28歳の女性、というか女の子(に見えました)に結婚式での司会をお願いします。

「美佐子〜司会して。司会者席から男探せばいいじゃん?よく見えるよ〜」
「いやっ、男探すんだったら受付がいい!」
「えーーーー!あんた意外と計算高いねえ」
「いやっ、いやっ」

うん、これも一生に一度見れるか見れないかだなあ〜。すっげー衝撃。眼がチカチカする。

それにしても田口さん、普通に稽古場になじんでらっしゃいますが、考えてみれば劇団員の母親ぐらいの年齢です。そんな人と競演して、やっぱりテンションが上がるのが役者なんですねえ〜、今日は劇団員がやたらと楽しそうな稽古場でした。

野々下 孝