07/10/17

YAMANOTE NIPPON

日頃の関係<舞台の関係

ども、山田宏平です。
渋谷に「カフェ 人間関係」というお店があるのをご存知ですか?
悪くない店なのですが、忙しくなると接客が「ぞんざい」になるのがちと気になります。

忙しくても悪くならないのが山の手の人間関係。
その支えになっているのが川村・浦・岩淵をはじめとする中堅男子たち。
顔の暗い後輩を励まし、先輩たちの傍若無人ぶり(山の手ベテラン連中は、僕を筆頭に面倒くさい人間だらけです)にも上手に付き合い、明るいおふざけで場を盛り上げます。
愛すべきヤツらです。

が、僕は最近どうも彼らに近寄っていけない。
なんだかコワいんですね。
なぜかな〜と帰り道に考えていたら、ふと思いつきました。
役柄の関係のせいだと。

今回僕の役は、
「傾城反魂香」では後輩に先をこされるうだつの上がらないどもりの画家・又平、
「道成寺」では志を抱いて入山したものの悲惨な死を遂げる若い僧です。
中堅男子たちの役はというと、
僕の先を行く出来のいい後輩やら、おっかない師匠やら、家に押し入ってくる悪の手先やら、
コワい先輩僧侶たちやらなのです。
基本、又平&若僧にとって「コワいひとたち」なんですね。

コワい先輩僧侶の更に上を行く気狂い和尚の山本さんとはなかなか目を合わせられないし、
師匠の奥さんである新人女優櫻井さんに話しかけるときは「いつもお世話になって…」みたいな心持ちになります。
清姫役のあのヒトなんか、近付くととり殺されそうで傍にも寄れません。
去年はずーっと行動を共にしていたのに…

2作ともまったく出番が一緒にならないひとも何人かいます。
そのひとりである後輩女優越谷さんに稽古場で出くわしたとき、「久しぶり」って言いそうになる自分がいました。
毎日同じ場所にいるのに…

舞台の人間関係を引きずったまま過ごす稽古場は、ちょっと新鮮です。


山田宏平

07/10/17

YAMANOTE NIPPON

この時期に見る夢

ちょっとかぶる話題だけど、そろそろ寝覚めが悪い夢をみる時期到来なので、厄除けのつもりで敢えてここに書き記しておこうかなと。

こんな夢をみた。(夏目漱石さんスミマセンッ。)

舞台上、見覚えのない新人女優(確か現実世界では、過去のワークショップ講師の時にみかけた参加者さんの一人)と二人芝居をしている。
張り切って演じている女優さん、後ろ向きざまに椅子に飛び乗ったが着地に失敗してバランスを崩し、香港映画のワイヤーアクションでしか有り得ない重力を無
視した感じで空中を一回転して、これまた有り得ない態勢で床に叩きつけられ、どおくまん(知らないか…)の漫画のようなポーズで絶叫。悶絶。再起不能な様子。

固まる舞台上の俺。固まる袖のスタッフ陣。
みるみるうちにサーッと閉まっていく引き幕。
うわっ閉めんのかよ、後どーすんだよ!!と冷や汗の俺。

引き幕が完全に閉まると同時に「大丈夫?」と女優さんに声をかける。返事はないがどうやら大丈夫らしい。
と、とたんにピャァーッと再び開く引き幕!おいおいどーすんだよ舞監さーん!みたいな。

瞬間、俺の頭の中は、一言めで気のきいたアドリブをキメて客席の爆笑を誘い、その勢いで舞台を“俺の機転で”立て直すという野望で埋めつくされる。
絶対的自信の中、新人女優さんに軽くツッコミいれるニュアンスでアドリブを放つ俺。
…シーン…。
凍りつく客席。完全にスベる。ダダすべり。
さっきのハプニング以上にうろたえる俺。

やにわに女優さんが立ち上がってスカートをひらひらさせながらやたらデカイ演技を始める。しかし台詞は一滴も出てこない様子。さっきのハプニングで完全に台詞が飛んだらしい。
するとスピーカーから大音量でプロンプターの声が流れ始める。女優さんは何の躊躇もなくプロンプの後にオウム返しで台詞を言っている。

そしてプロンプターは、あろうことか俺の台詞まで、つまりその舞台の台詞全てを朗々と読みあげ始めている。俺も仕方なくオウム返しでプロンプの後に台詞を言う。
しかもそのプロンプター、60代くらいの年季の入った男性俳優の美声で、俺なんざより全然芝居が巧いからウンザリくる。
こんなんでお客さんに楽しんで貰えるんだろうかと客席を見ると、2万人は収容できるかと思われるバカでかい客席にお客さんは0人。そういやマチネはお客さん少
ないですからって制作さん言ってたな、ソワレはどのくらい入るのかな?
などと、0人なのに何故か別に驚きもせずにぼんやり思いつつ、演劇って、世の中に必要なのか? ひょっとして要らねーんじゃねぇか?などと割と深刻に考え込んだところで目が覚めた『傾城反魂香』初通し稽古の日の朝。


本番まであと一週間。
その間に幾つこのテの夢を見るんだろう。

定番の、全く台詞が入ってないのに(というか稽古した覚えさえない演目なのに)、なぜか暗闇の舞台袖で自分の出番を内心超パニックになりながら待機している夢や、乗った電車が劇場のある駅でなぜか停車してくれず、何度引き返して乗り直しても絶対にその駅は通過してしまう。結局、車窓に流れる劇場を見ながら呆然と開演時間を迎えてしまう夢。

そして自分が出演してるはずの舞台を、なぜかうちひしがれた心持ちでピンスポ用ライトを握りしめながら、まばゆくきらめく本番舞台をキャットウォークから覗き見ている夢etc…。

いちいちウンザリなんだけど仕方がない。
毎度毎度の通過儀礼みたいなもんだ。

ま、そんな夢を事前にみてしまうほどのプレッシャーやド緊張が、結局のところ快楽の素なんだよなぁ。
たまらなく気持ちいいからこそ毎回アホみたいに舞台立っちゃう訳であって。

そんな訳で、本番が待ち遠しい頃合いでもある。
現実の時間なのに、調子が良いと肉体を通じて非現実の時間と混じりあうような“錯覚”も味わえる本番は、1時間半の夢をみているようなもの。

贅沢だなぁ、ラッキーだなぁって感じながら、今回も客席との共有を心の支えに、全ステージ楽しむつもり。

三村 聡


※オマケの夢

こんな夢を見た。
山の手稽古場。
激怒して怒鳴っている演出家の安田氏。
台詞をうろ覚えのまま稽古に参加した数人に対して俳優として意識が低過ぎるとかなり厳しく叱責してる。
俺は壁にもたれて他人事の様に余裕のポーズかまして佇んでいるが、実は自分はうろ覚えどころか全く台詞を覚えてきていないらしい。
ヤベェなぁと内心超ヒヤヒヤ。
そこに安田氏の声が聞こえる。
「三村っ、こいつらにお手本を見せてやってくれ!(お前に任せた的ニッコリ)」
ガーン!!!
無理ですって。あぁ俺、終わったなと内心思いながら、
表面上は自信満々の微笑を浮かべながらゆったりと壁から離れ(実はただの時間かせぎ)、みんなが見守る中をさらにゆっくりと稽古場舞台の中央に歩を進める俺。
で、どーすんのよ?
頭の中はゼロ。ノープラン、オォ イェーイ。
ホントどーすんだよ俺!!??

というところでガバッと目覚めた、なんでもない日の朝6時。

07/10/14

YAMANOTE NIPPON

役の顔

本番まであとわずかとなりました!
この時期みる夢は公演関係のことばかり。

つい先日は『反魂香』本番の舞台場で、
「雅楽介!(私の役名)」と呼ばれ舞台場に出たら、
喉仏をスパッと切られ血をだらだら流しながら、
「声が出ない〜」と思っている恐ろしい夢をみました。

さてそんな恐ろしいことにはならないでほしいと祈りながら稽古場へ。

本日は『反魂香』の女優陣のメイク実験を、
今回の衣裳&メイクのROCCA WORKSさんの指導のもと行いました。
メイクは役の印象を決めるうえでもとても重要なので、
じっくり丁寧に時間をかけて行いました。

そのかいあってみんなみごとに別人になってたよ(@◇@
衣裳を着ると某女優はモデルみたい!!
素敵よ〜☆

そして通しをして…(*_*)
あんなに素敵だったみんなの顔が、汗や涙でぼろぼろに〜(>_<)

終わったときにはまた別人になっていました。
はぁ〜汗かきすぎだぜ。

そして某男優Mさんから一言。
「女優陣は普段の顔のほうが綺麗にみえる、メイクの問題とかではなくて、表情をもっと綺麗にみせる工夫をしたほうが良いと思う。」

…はい。
そうなんだよな〜。体がおいつかないから顔で表現しようとしすぎてみんなすっごい表情になっているんですよね。
役の顔ではなく、それぞれのリキミ顔になっているんですよね。
リキんで無駄な汗流しメイクもくずしてる。

自分をブスにしてるのは自分だー!!
役の顔を作るのはメイクでもなくそれぞれの意識!!
己の役の人物はどんな表情をするのか
、己の顔はどの角度が美しいのかもっと意識すべしだ。

はい。その意識さぼっておりました(/_;)

私は「反魂香」では男役なんで、自分の中にあるかっこよくて凛々しい顔をみつけよう、その表情になる肉体を探してみよう!
と当たり前のことに改めて気付かされた日でした。

明日は「道成寺」稽古。どんな顔になるかな

 山口笑美

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